次年度の研究費の使用計画 |
1.メチル化基質合成酵素遺伝子(MAT2A)とメチル化酵素遺伝子(DNMTs)の解析:(1)メチル化インプリントの異常を呈す精子あるいは患者血液DNAを用い、MAT2Aおよび DNMT1,3A,3L遺伝子の遺伝子変異について解析する。DNMT3Aは転写領域に設定した16対のプライマーセットを用い、PCR-SSCP法で電気泳動を行う。バンドに変異を認めた領域については、クローニングし、全塩基配列を決定する。同様にDNMT3Lは8対のプライマーセットを用いる。(2)プロモーター領域のメチル化の解析;精子検体のDNAを用いて、MAT2A, DNMT1およびDNMT3A,3L遺伝子のプロモーター領域のメチル化の解析をBS―PCR法で行う。(3)(1)、(2)で見つかった変異は遺伝子変異プラスミドをPCRで作成し、COS-7細胞にトランスフェクションする。メチル化の基質(S-アデノシル-L-メチオニン)を添加して、Luciferase assay法を用い、遺伝子発現の変化を定量化する。また、変異の配列特異性により、結合蛋白や関連因子を類推する。2.精子のメチル化インプリント異常のリスクと発症機序に関する検討:精子形態を細分類し、精子の形態学的特徴とゲノムインプリント異常の関連性について解析する。また、(食)生活習慣などの患者情報を基に、その影響について栄養素の量依存性について、特にメチル化基質である葉酸、ビタミンB6に注目し、評価する。評価には、多変量解析法を用いる。精子にみられるインプリント異常のパターン分類より、発症メカニズム(獲得、維持、消去)について明らかにする。その際、MAT2A, DNMT1、DNMT3A及びDNMT3L遺伝子の変異や機能解析の結果や精子の形態学的特徴を参考にする。
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