研究課題
心臓発生の基盤として機能する転写因子とエピジェネティック因子による転写制御メカニズムを明らかにすることにより、先天性心疾患の発症機構を理解し、新たな治療法開発の基盤を確立することを目的とし、A. 転写因子Nkx2-5、Tbx5、GATA4のゲノムワイドな標的領域のChIP-Seq法による同定。B. 転写因子Nkx2-5、Tbx5、GATA4と相互作用するエピジェネティック因子の免疫沈降法による同定。C. 初代培養心筋細胞のsiRNAノックダウンのシステムによる転写因子-エピジェネティック因子転写調節メカニズムの解明。の3点について研究を行った。 まず、A. 転写因子Nkx2-5、Tbx5、GATA4のゲノムワイドな標的領域のChIP-Seq法による同定、においてはマウス胎仔心臓の核抽出液を作製し、それぞれに対する抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行った。得られたDNA断片からライブラリーを作製し、高速シークエンサーSOLiDを用いて、配列の同定を行った。 その結果、これらの転写因子は心臓で発現している遺伝子群に結合していることが明らかになった。B. 転写因子Nkx2-5、Tbx5、GATA4と相互作用するエピジェネティック因子の免疫沈降法による同定、においては、それぞれの抗体でマウス胎仔心臓の核抽出液から免疫沈降を行い、ヒストンメチル化酵素Whsc1を始めとし、複数のエピジェネティック因子の相互作用を検出することに成功した。C. 初代培養心筋細胞のsiRNAノックダウンのシステムによる転写因子-エピジェネティック因子転写調節メカニズムの解明、については、マウス胎仔心臓から得た初代培養心筋細胞における転写因子のsiRNAによるノックダウンを行うことに成功した。以上のことにより、今まで全く不明であった発生中の心臓における転写因子の結合領域、また相互作用する因子の同定できた。
1: 当初の計画以上に進展している
次世代シークエンサーを用いて、マウス胎仔心臓におけるChIP-seqを成功でき、また、発生中の心臓における転写因子と相互作用する因子を同定できたことから、当該年度の研究目的は十分達成することができたと考える。
本年度の研究については、昨年度より引き続き、研究計画書に基づいて遂行する。
本年度においては、引き続き分子生物学的な研究や、また学会出張費、論文校正などに研究費を使用したい。
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