研究概要 |
本研究は次の3つの研究から構成されており,各研究での実施状況を以下に記載した。 ①疾患関連遺伝子多型の解析:ゲノムDNAの収集については,752例の潰瘍性大腸炎患者のゲノムDNAをすでに収集した.実験と解析に関しては,上記の752例のサンプルを用いてFCGR2A, SLC26A3,JAK2遺伝子領域の遺伝子多型の解析を行っている.FCGR遺伝子領域にはコピー数多型(CNV)の影響が存在し,single nucleotide polymorphism(SNP)の解析のみでは不十分であることが判明した.そのため,その領域のCNVの影響の詳細な解析を行い,その結果,FCGR2A遺伝子上のSNPとほかのFCGR遺伝子のCNVのハプロタイプが潰瘍性大腸炎と非常に強い関連があることがわかり、この結果を論文化した. ②疾患関連遺伝子のヒト組織での発現解析(遺伝子多型や腸管炎症との関連):潰瘍性大腸炎患者30名と対照群25名の血液と大腸組織からのゲノムDNA,mRNAの抽出,および腸管各所からの組織を採取した.さらに,現在, SLC26A3遺伝子についてはジェノタイプ 毎に発現量に差があることを大腸組織の免疫染色で確認しており,FCGRをはじめSLC26A3,JAK2遺伝子のmRNAレベルでの発現解析を行い、臨床経過との関連を解析し論文化する予定である. ③遺伝子多型、および、遺伝子発現の臨床経過との関連解析:既採取のゲノムDNAサンプル109名を用いてその臨床経過との関連を解析した.その結果,二つの遺伝子の多型が,潰瘍性大腸炎の寛解維持期間に影響していることが判明した.この成果は学会報告を行った。現在、論文化を行っている.
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