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2011 年度 実施状況報告書

人種比較による疾患感受性遺伝子の精密マッピング

研究課題

研究課題/領域番号 23710228
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

竹内 史比古  国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (50384152)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード国際情報交流 / 英国
研究概要

本研究の目標は、人種比較による疾患感受性遺伝子の精密マッピングを、実データに基づいて行い、その知見を方法論としてまとめること、さらにソフトウェアとして実装することである。平成23年度は、メタボリックシンドロームや感染症について、人種比較によるゲノムワイド関連解析(GWAS)と精密マッピングを行った。【2型糖尿病と関連する5つの遺伝子座】日本人と欧州人のどちらのGWASでも2型糖尿病と有意な関連を示している遺伝子座に CDKAL1, CDKN2A/B, FTO, IGF2BP2, KCNQ1 がある。日本人と欧州人での関連解析結果をメタ解析により統合し、人種横断的に強い関連を示すSNP及びハプロタイプを探索することにより、責任変異を絞り込むことができた。これは欧米グループ(McCarthy, Oxford Univ.他)との共同研究である。【アルデヒド代謝及び心筋梗塞・高血圧に関連する12q24の領域】aldehyde dehydrogenase 2 family (ALDH2) の東アジア人固有の*2対立遺伝子保有者では酵素活性が低いため、フラッシングを起こし飲酒量を減らすことが知られている。日本人における心筋梗塞のGWAS、及び東アジア人における高血圧のGWASを行ったところ、この多型が強い関連を示すことが分かった。詳細なタイピングを行い、これら疾患の原因変異がどこに存在し得るかを解明した。【ハンセン病とクローン病に関連する13q14の領域】ハンセン病及びクローン病と関連を示す13q14遺伝子座には二つの遺伝子 CCDC122, C13orf31 が含まれており、それらの機能は未知である。両疾患のGWAS及びHapMapのデータを用いて、原因変異を絞り込んだ結果、この遺伝子座には二つ以上の原因変異が含まれ得ることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の研究対象として予定していた3つの疾患感受性領域のうちの2つ、及び予定外の1つについて解析を行った。上記の研究成果については、アメリカ人類遺伝学会や専門誌で発表した。

今後の研究の推進方策

前年度の実データ解析に基づいて、様々なGWASに応用できる精密マッピングのアルゴリズムを開発し、ソフトウェアとして実装する。また、GWASで同定され人種差を示す関連領域について、前年度に追加して解析する。23年度までは頻度が5%以上でHapMapでタイピングされている多型に解析が限られるが、24年度以降は1000 genomes projectの進行により頻度1%以上のゲノム多型が網羅的に調べられるようになる見込みである。こうした、データベースに登録されているSNPsのタイピングのみならず、次世代シーケンサーでの塩基配列解読コストが下がれば、さらに低頻度で人種あるいは疾患固有の変異についても独自に配列解読による検出とタイピングを行ない、解析対象としたい。

次年度の研究費の使用計画

研究経費の主な用途としては数理解析ソフトウェアの購入、サンプルDNAのSNPタイピングと塩基配列解読、および成果発表と情報収集のための学会出張を計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Genome-wide association study of coronary artery disease in the Japanese2012

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi F, Yokota M, Yamamoto K, Nakashima E, Katsuya T, Asano H, Isono M, Nabika T,Sugiyama T, Fujioka A, Awata N, Ohnaka K,Nakatochi M, Kitajima H, Rakugi H, Nakamura J, Ohkubo T, Imai Y, Shimamoto K, Yamori Y, Yamaguchi S, Kobayashi S, Takayanagi R, Ogihara T, Kato N
    • 雑誌名

      European Journal of Human Genetics

      巻: 20 ページ: 333-340

    • DOI

      DOI:10.1038/ejhg.2011.184

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Meta-analysis of genome-wide association studies identifies common variants associated with blood pressure variation in east Asians2011

    • 著者名/発表者名
      Kato N, Takeuchi F, Tabara Y, Kelly TN, Go MJ,Sim X, Tay WT, Chen CH, Zhang Y, Yamamoto K, Katsuya T, Yokota M, Kim YJ, Ong RT, Nabika T, Gu D, Chang LC, Kokubo Y, Huang W, Ohnaka K, Yamori Y, Nakashima E, Jaquish CE, Lee JY, Seielstad M, Isono M, Hixson JE, Chen YT, Miki T, Zhou X, Sugiyama T, Jeon JP, Liu JJ, Takayanagi R, Kim SS, Aung T, Sung YJ, Zhang X, Wong TY, Han BG, Kobayashi S, Ogihara T, Zhu D, Iwai N, Wu JY, Teo YY, Tai ES, Cho YS, He J
    • 雑誌名

      Nature Genetics

      巻: 43 ページ: 531-538

    • DOI

      DOI:10.1038/ng.834

    • 査読あり
  • [学会発表] Trans-ethnic fine-mapping of Type 2 Diabetes susceptibility loci using a "Cosmopolitan" reference panel for imputation2011

    • 著者名/発表者名
      M. Horikoshi, S. Wiltshire, N. Kato, J. Asimit, N. Rayner, N. Robertson, F. Takeuchi, A. Mahajan, T. Yik Ying, E. Zeggini, A. Morris, M. McCarthy
    • 学会等名
      61th annual meeting of the American Society of Human Genetics
    • 発表場所
      モントリオール(カナダ)
    • 年月日
      2011年10月14日
  • [学会発表] Fine-mapping of 13q14 locus associated with susceptibility to leprosy and Crohn’s disease2011

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi, F
    • 学会等名
      61th annual meeting of the American Society of Human Genetics
    • 発表場所
      モントリオール(カナダ)
    • 年月日
      2011年10月13日

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公開日: 2013-07-10  

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