研究課題
本研究で開発したChIP-seq解析プログラムの改良を更に進め、酵母・ヒトを含めたゲノム配列が公開されているあらゆる生物種に対して使用可能なChIP-seq解析プログラムDROMPAを完成させた [Nakato et al. 2013]。本プログラムの特徴として、(1)マップファイルを予め染色体毎のwigファイル(ゲノムにマップされた断片配列の部分領域ごとのヒストグラム)に変換し、このwigファイルを入力としてタンパク結合部位を推定する二段階手法により、計算に必要な時間・メモリを大幅に節約したことで、大規模な解析を一般的なワークステーション上で行えること、(2)ピークリストだけでなく、wigデータをpdf(png)形式で可視化できることにより、シーケンスされたデータを視覚的に概観することができ、ChIP-seqの実験の成否や、タンパク結合抽出の閾値の妥当性を直観的に判断できることが挙げられる。また、PCR増幅に伴う配列の偏りや、全リード数の違いに伴い値を正規化するなど改良も施した。これらにより、ChIP-seq解析全体に必要な計算・時間的コストを削減し、大規模なChIP-seq解析を精度高くかつ効率的に行うことができるようになった。本システムを用いた解析の成果は、ヒト [Deardorff et al. 2012](申請者は筆頭共著者)、マウス[Yamaji et al. 2013]、分裂酵母[Tazumi et al. 2012]について発表された(最終年度)。また、本研究で開発したDROMPAのウェブページを作成し、プログラムコードと実行・結果例を公開することで誰でも使用可能なシステムとしている。3Cを用いた立体構造解析に関しては、調査及び実験の結果から、全ゲノム解析に耐え得る精度が得られないと判断し、現在はChIA-PET法など他の手法の導入を検討している。
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http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/chromosomeinformatics/rnakato/drompa/