研究課題/領域番号 |
23710245
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
梅澤 大樹 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (20503618)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 全合成 / クロロスルフォリピッド / 有機合成化学 / 含塩素化合物 |
研究概要 |
本研究は、様々な生理活性を示すものの、活性の発現機構が不明のままとなっているクロロスルフォリピッドを活性発現機構の解明を目的に量的供給することを目的としている。クロロスルフォリピッドは、アルキル鎖状に多数の塩素原子や水酸基を配置する特徴的な構造を有しているため、有機合成化学としても、非常に興味深い化合物である。 本年度は、研究実施計画に基づいて、クロロスルフォリピッドを合成するための2つのフラグメントの合成、およびそれらをカップリングするための反応条件についても検討した。各種検討の結果、2つのフラグメントのうちの1つの効率的な合成法を確立するとともに、もう片方のフラグメントを効率的に合成するための新規合成方法論(アルデヒド、トリメチルシリルメチルホスホネート、酸フッ化物を用いた3成分カップリング)を確立することに成功した。この合成方法論は、様々な化合物に対して適用範囲が幅広く、各種有機化合物を合成するために非常に有用な方法であり、この方法を用いた天然有機化合物合成へと応用することも可能である。カップリングの反応条件については、ベータ位に脱離基となる塩素原子を有するアルデヒドに、アルキンを付加させる新規な合成方法論をモデル化合物を用いて確立できた。通常の反応条件では、ベータ脱離反応を引き起こし目的としない生成物が得られるが、検討の結果、目的の付加反応を進行させる反応条件を見出した。この方法により、効率的なクロロスルフォリピッドの合成が可能になることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、2年でクロロスルフォリピッドの合成が完了する計画であり、1年目は2つのフラグメント合成までを計画していた。1年目に達成できたこととして、1つのフラグメントの合成完了、残りのフラグメントの効率的合成方法論の確立、そして2つのフラグメントをカップリングする合成方法論の確立が挙げられる。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づいて、2つのフラグメントの合成とカップリング反応を経たクロロスルフォリピッドの合成を目指す。1つは合成済みであり、もう片方も合成にめどを付けている。これらを合成後は、1年目の検討をもとにさらに良い条件を見出した後に、ターゲットの合成を完了する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度未使用分は、年度末の出張や消耗品の購入が必要であったため、年度内に執行しきれなかった。なお、未使用分はすでに執行している。平成24年度については、計画に基づいて研究費を使用していく。具体的には、有機合成試薬や有機溶媒などの消耗品、研究成果を発表するための旅費、そして論文に投稿するための経費を予定している。
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