研究課題
糸状菌のゲノム解読が進につれ,未知の二次代謝物をコードする数多くの生合成関連遺伝子が存在することが明らかになってきた.なかでも,PKSやNRPSをコードする遺伝子が多数存在しており,新規生物活性天然物の宝庫として期待される.しかし,これら生合成遺伝子の多くは,従来の培養条件下での発現量が低く,二次代謝物の取得に至っていないケースが多い.本研究では,DNAメチル化酵素阻害剤やHDAC阻害剤を用いる化学的手法およびエピジェネティック因子の過剰発現系を用いる遺伝子工学的手法により,糸状菌のヒストン修飾状態を人為的に変化させることで,様々な遺伝子発現変動を引き起こし,多様な新規天然物の取得を可能にする物質生産法の確立を目指した.1) 酵素阻害剤を用いる化学的手法:二次代謝活性化剤として機能する阻害剤およびその濃度条件を見出し,多くの糸状菌に有効な培養方法を確立した.確立した培養法を用いて昆虫寄生糸状菌を中心とした糸状菌群をスクリーニングし,新規性の高い構造を有する化合物や生物活性を示す化合物を含め多様な新規二次代謝物の取得に成功し,本法の有用性を示すことができた.2) エピジェネティック因子の過剰発現系を用いる遺伝子工学的手法:LaeA過剰発現により糸状菌二次代謝が活性化されることは確認できたが,新規物質の取得には至っていない.より多くの遺伝子の発現を変動させ,新規物質の取得に繋げるために,LaeAと複合体を形成し,二次代謝制御に関わることが示唆されている因子を共発現させるなどの検討を行う必要がある.
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