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2011 年度 実施状況報告書

過酸化水素・分子状水素のWntシグナル伝達経路に対する作用分子機構研究

研究課題

研究課題/領域番号 23710253
研究機関名古屋大学

研究代表者

大河原 美静  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80589606)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード神経筋接合部 / H2ガス / H2O2 / Wntシグナル伝達経路
研究概要

本研究はWntのシグナル伝達経路におけるH2O2とH2の分子作用機構を調べる事を目標にし、Wnt/-cateninシグナル伝達経路の活性化の状態をH2O2が変化させることをTOPFLASHレポーターを用いたルシフェラーゼアッセイにより確認した。その結果、H2O2は短い時間、高濃度処理でWnt/-cateninシグナル伝達経路を正に、しかし比較的長い時間、低濃度処理でWnt/-cateninシグナル伝達経路を負に作用する事がわかった。次にこの培養系をH2ガスに暴露することにより、HEK293T細胞のWntシグナル伝達経路に対するH2O2の作用をH2が変容することを確認した。培養細胞に対するH2ガス暴露の時間と濃度の制御は申請者が所属する神経遺伝情報学研究室で効果が見られている設定を利用した。この結果、H2ガスの暴露により短時間で高濃度のH2O2の効果は抑制するが、長時間で低濃度のH2O2の効果は変容できないことがわかった。さらに免疫染色により、H2ガスの暴露はWntが誘導するb-cateninのたんぱく質の細胞質での蓄積と核移行を阻害する事がわかった。これによりH2ガスは-cateninの上流でWntのシグナル伝達経路に機能することが予測された。以上の結果により、H2O2のみならずH2もWntシグナル伝達経路を直接制御することが特定された。H2の分子生物学的な機能は未だわかっておらず、このことは今後のH2の機能を特定する上で有用な結果であると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の目標であった「細胞質におけるH2とH2O2のWnt/-cateninシグナル伝達経路上の特異的な効果を抽出して解析する」については、現在結果を詳細に検討している最中である。一方、次年度の目標であった「Wntシグナル伝達経路に対するH2O2とH2の生体での生理的意義を明らかにする」という目標に対し、すでにヒト胎生腎臓細胞由来のHEK293細胞以外にマウス由来の繊維芽細胞であるL細胞でもH2の効果を確認しており、最終目標に対する相対的な達成度合いは「おおむね順調に進展している」と考える。

今後の研究の推進方策

提出された研究計画に基づき、最終的に「Wntシグナル伝達経路に対するH2O2とH2の生体での生理的意義を明らかにする」ことをめざし、siRNAや抑制薬剤などを用いた機能阻害実験を積極的に進めていく。また、リン酸化抗体を用いたウェスタンブロットや標的タンパクの発現量の確認など他の実験方法を用いて事実確認をしていきたい。

次年度の研究費の使用計画

物品費はsiRNAや抑制薬剤の購入、新規の実験方法の準備費に充てていく。また、使用額に計上した旅費を用い、この結果を広く学会などで報告していく方針である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Anti-MuSK autoantibodies block binding of collagen Q to MuSK.2011

    • 著者名/発表者名
      Kawakami Y, Ito M, Hirayama M, Sahashi K, Ohkawara B, Masuda A, Nishida H, Mabuchi N, Engel AG, Ohno K.
    • 雑誌名

      Neurology

      巻: 77(20) ページ: 1819-1826

    • DOI

      10.1212/WNL.0b013e318237f660

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An ATF2-based luciferase reporter to monitor non-canonical Wnt signaling in xenopus embryos2011

    • 著者名/発表者名
      Bisei Ohkawara, Christof Niehrs
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics

      巻: 240(1) ページ: 188-194

    • DOI

      10.1002/dvdy.22500

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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