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2012 年度 実施状況報告書

メタボロミクスによる炎症性腸疾患の評価とその治療候補因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 23710256
研究機関神戸大学

研究代表者

西海 信  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20514706)

キーワード炎症性腸疾患 / メタボロミクス
研究概要

生体内低分子代謝物を網羅的に解析するメタボロミクス技術の急速な進歩により、生体情報を低分子レベルまで捉えることが可能になりつつある。そこで、我々は、難治性疾患であり、その発症機序も未だ明らかにされていない炎症性腸疾患をメタボロミクスにより評価することを目的とした。炎症性腸疾患の発症により低分子代謝物がどのように変動するのかを明らかにすることで、その発症機序の解明、さらには、治療効果を有する分子を見出すことを具体的な目標とした。平成24年度は、Th1型免疫応答や断続的な貫壁性炎症などクローン病様病変を呈することが知られている炎症性腸疾患モデルIL-10遺伝子欠損マウスを用いて、腸炎発症における生体内低分子代謝物プロファイルについて検討した。アミノ酸、有機酸、脂肪酸の測定にはガスクロマトグラフ質量分析計を使用し、脂肪酸以外の脂質については高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて分析を実施した。その結果、平成23年度の研究により明らかにされたグルタミンが、IL-10遺伝子欠損マウスにおいても、腸組織における存在量が減少していることを見出した。さらに、潰瘍性大腸炎患者やクローン病患者の血清中の代謝物分析を実施した結果、やはり、いずれの疾患においてもグルタミン存在量の低下を見出すことができた。これらの結果は、炎症性腸疾患の発症により、グルタミン欠乏が生じる可能性を示唆している。さらに、潰瘍性大腸炎患者やクローン病患者の血清では、グルタミン以外の様々なアミノ酸の存在量の低下が確認できたことから、炎症性腸疾患の病態とエネルギー欠乏との相関の可能性を提言することができ、本研究の成果は意義のあるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度では、炎症性腸疾患マウスモデルのうち、クローン病マウスモデルにおける生体内代謝物プロファイルの評価を実施することを目的とした。クローン病モデルであるIL-10遺伝子欠損マウスに対して、ガスクロマトグラフ質量分析計と高速液体クロマトグラフ質量分析計とを用いた代謝物分析が終了し、かつ、その実験結果の評価も終了したことから、マウスモデルを用いた実験においては、「おおむね順調に進展している」と判断している。また、平成23年度に収集したヒト炎症性腸疾患患者血清のガスクロマトグラフ質量分析計による代謝物分析も完了していることから、ヒト検体を用いた実験においても、「おおむね順調に進展している」と判断している。

今後の研究の推進方策

平成25年度では、平成24年度に完了した炎症性腸疾患患者血清のガスクロマトグラフ質量分析計による代謝物分析のデータをより詳細に解析し、平成23年度と平成24年度に実施された潰瘍性大腸炎マウスモデルとクローン病マウスモデル実験結果をとともに、横断的な評価を行うことで、炎症性腸疾患の病態やその治療に結びつけることができるような知見を得ていく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度から繰り越した研究費においては、炎症性腸疾患に対して治療効果を発揮する分子の同定とその作用機序の解明に関する基礎研究を実施するための消耗品購入に使用する。平成25年度では、ヒト炎症性腸疾患患者検体の代謝物分析データをより詳細に解析していくことを予定している。この代謝物分析データは、かなりのデータ容量であり、統計解析やヒト臨床情報との相関をより詳細に評価していくためには、ヒト代謝物解析専用の高性能パーソナルコンピュータが必要であり、この購入に平成25年度の予算を使用する予定にしている。また、まとまったデータは、学会発表や論文発表していく予定にしており、それに関わる諸経費も、平成25年度の予算を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] メタボロミクスを用いた炎症性疾患に対する新規治療薬の探索への試み2012

    • 著者名/発表者名
      西海信、和泉自泰、松原惇起、東健、吉田優
    • 学会等名
      第37回日本医用マススペクトル学会年会
    • 発表場所
      愛知
    • 年月日
      20121025-26

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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