リュウキュウスガモから単離したカフェ酸を用いてコユビミドリイシの隠蔽種Acropora sp.1幼生に対する作用を詳細に検討したところ、濃度0.005 MでA. sp.1幼生の外胚葉が剥離し、外胚葉と内胚葉が分離することが明らかとなった。サンゴを含む刺胞動物は二胚葉性で、外胚葉と内胚葉の2層からなり、これらの間には中膠と呼ばれる細胞外マトリックスが存在する。中膠は膠原繊維で構成されており、外胚葉と内胚葉を連結している。今回の実験で外胚葉と内胚葉が分離したことから、中膠が消失した可能性が示唆された。また実際に中膠は観察されなかった。 また市販されているカフェ酸を用いてエダコモンサンゴ幼生とコユビミドリイシ幼生に対する作用を検討したところ、濃度0.005 M でコユビミドリイシ幼生の外胚葉が剥離したが、形が崩れる幼生が多く、外胚葉がきれいに剥離したA. sp.1幼生の場合と異なる結果となった。さらにエダコモンサンゴ幼生の外胚葉は剥離しないことが明らかになったことから、異なる種のサンゴ幼生に対するカフェ酸の作用が顕著に異なることが明らかになった。
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