現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.新規機能性をもつビタミンK誘導体の化学合成:ビタミンK3を基にビタミンK3 dimer (VK3 dimer)、Juglone、plumbagin、Biplumbagin、2, 3-Dimethyl-1, 4-naphthoquinoneの5種類を新たに合成した。2.1で得られた誘導体を用いてのpolの活性測定 (1)polの準備:哺乳類のpolは、alpha~upsilonの15種類の分子種が存在するが、遺伝子工学的手法や生化学的手法により、10種類のpol分子種の安定供給を可能にした。(2)ビタミンK誘導体のpol阻害活性:各誘導体20 μMにおけるpol阻害は、VK3、VK3 dimer、Biplumbagin、2, 3-Dimethyl-1, 4-naphthoquinoneではいずれのpolも阻害しなかった。Plumbaginは、pol etaを約20%程度の残存活性まで阻害した。Jugloneでは、調べたpol活性をいずれも60%以下まで阻害し、その中で最も強くpol etaを阻害した。3.1で得られた誘導体を用いてのヒト癌細胞増殖抑制試験:VK3、VK3 dimer、Juglone、plumbagin、Biplumbaginは50 μMでヒト大腸がん細胞(HCT116 cells)の増殖を10%程度まで抑制した。4.1で得られたビタミンK誘導体を用いての癌細胞増殖抑制活性におけるメカニズム解析 (1)細胞周期解析:ヒト大腸がん細胞を用いてPI染色によるFACS解析をおこなったところ、30 μM Jugloneは細胞周期に影響しなかった。(2)アポトーシス解析:27 μM Jugloneを24時間培養後、FITC-Annexin V染色によるFACS解析を行ったところ、5.1%アポトーシスを引き起こし、死細胞が28.4%であった。
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