研究課題
ビタミンK誘導体から有効な新規医薬品または抗癌機能性食品、もしくは分子プローブとして生体内におけるDNA合成酵素(pol)研究のツールの開発を目的とする。ビタミンK誘導体の化学合成、DNA合成酵素であるDNAポリメラーゼ、DNAのねじれを巻き戻す酵素であるDNAトポイソメラーゼ、これらの活性に対する阻害作用を指標として新規機能性をもつビタミンK誘導体の化学合成をすすめてきた。得られた誘導体を用いて有効な新規医薬品、機能性食品または分子プローブとして生体内におけるDNA合成酵素研究のツールの開発を展開するために平成23年度で得られたビタミンK誘導体Jugloneのさらなるメカニズム解析と併用効果の調査を実施した。1、ビタミンK誘導体Jugloneのpol eta阻害活性についての分子作用機序(メカニズム)解析:ビタミンK誘導体Jugloneはpol etaを強く阻害し、がん細胞増殖抑制も示した。しかし、細胞周期への影響はみられず、アポトーシスも引き起こしていなかった。この結果を裏付けるためにpol etaノックダウン細胞の作成を試みた。2、ビタミンK誘導体JugloneのUV照射等との併用効果:ヒト癌細胞においてビタミンK誘導体と紫外線照射のタイミングの違いによる細胞増殖抑制活性への影響についてコロニーアッセイ法を用いて調査した。その後、添加量を複数点とっての癌細胞増殖抑制活性を調査した。
2: おおむね順調に進展している
1、ビタミンK誘導体Jugloneのpol eta阻害活性についての分子作用機序(メカニズム)解析(1)ノックダウン細胞の作成:siRNAを用いてpol etaノックダウン細胞の作成したが、siRNA効果が弱かったので、今後さらなる検討が必要である。(2)変異率:ウワバインアッセイを用いて調査したところ、併用効果がみられた。2、ビタミンK誘導体JugloneのUV照射等との併用効果(1)紫外線照射のタイミング:ヒト大腸癌細胞HCT116を用いて、ビタミンK誘導体Juglone添加と紫外線照射のどちらが先がより細胞増殖抑制が強いかをコロニーアッセイ法を用いて調査した。その結果、ビタミンK誘導体juglone添加が紫外線照射より先の方がより効果的であることがわかった。(2)添加量:Jugloneの濃度を複数点とり、コロニーアッセイ法により細胞増殖抑制を調べたところ、濃度依存的に強い細胞増殖抑制を示した。
次のようなビタミンK誘導体から有効な新規医薬品、機能性食品または分子プローブとして生体内におけるDNA合成酵素研究のツールの開発を展開する。1、ビタミンK誘導体Jugloneのpol eta阻害活性についてのさらなる分子作用機序(メカニズム)解析2、ビタミンK誘導体Jugloneの併用効果の調査と動物実験
ビタミンK誘導体Jugloneのさらなるメカニズム解析と併用効果の調査および動物実験を実施する。動物実験については、抗炎症活性はマウス耳へ起炎剤であるTPAを塗布して、阻害物質の塗布の有無による耳の重量差を測定する。1、ビタミンK誘導体Jugloneのpol eta阻害活性についてのさらなる分子作用機序(メカニズム)解析(1)pol etaノックダウン細胞による確認:現在よりも高率にノックダウンした細胞を用いたメカニズム解析(2)変異の解析:平成24年度に得られた結果を裏付けるさらなる解析が必要となったため、次年度に使用する研究費を用意した。2、ビタミンK誘導体の抗炎症活性試験ICR系マウスの耳へ起炎剤であるTPA(12-O-Tetradecanoylphorbol-13-acetate)を塗布して、ビタミンK誘導体の塗布の有無による耳の重量差を測定する。被検体の塗布による重量の軽減量を抗炎症活性とする。
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