研究課題/領域番号 |
23710264
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 将人 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80511906)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 環状ペプチド / ライブラリー / 構造活性相関 |
研究概要 |
ペプチド系天然物には珍しいV-ATPase阻害活性を有する19員環環状デプシペプチド デストラキシンEの構造活性相関の解明を指向した固相合成法を用いた誘導体合成について検討を行った.デストラキシンEの全合成においてすでに見いだされているフラグメント合成法について,多種多様な誘導体を合成するために収率の改善が必要であった.そこで,さらに量的供給が可能な2残基プロリンフラグメントの新たな合成法について検討した.はじめに種々条件検討の結果,不斉アルキル化により得られるアリル化体に対しプロリンを縮合した後に,Shraplessらによって報告されている条件を参考に末端アルケンに対し不斉ジヒドロキシル化を行うことにより,良好なジアステレオ選択性で目的とするジオールを収率良く得られることが分かり,所望の2残基フラグメントを高収率で得ることができる新たな合成法の開発に成功した.量的供給を可能とするフラグメント合成法を見いだしたので,はじめに環の員数または窒素上のメチル基を無くした誘導体の固相合成を試みた.その結果,環の員数またはメチル基の有無に関わらず固相上にてペプチド鎖を伸長でき,固相からの切り出し後マクロラクトン化に付すことで望む環化体を合成できることが分かった.さらに,先に合成した環化体に対し側鎖上へのエポキシドの構築を試み,また更なる誘導体合成に向けて固相合成法を利用した4残基ペプチドのコンビナトリアル合成を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成中間体の量的供給は,多種多様な誘導体を合成する上で必要不可欠である.収率に問題のあった合成法について不斉アルキル化の収率の改善,および不斉ジヒドロキシル化を用いることによるジアステレオ選択性の向上を図ることで,誘導体合成における問題となる合成中間体の量的供給が可能となった.また構造改変した誘導体の合成,および構造活性相関の解明を指向した誘導体合成にも既に着手していることからもおおむね順調に進行していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は合成した4残基ペプチド群に対し,別途調製した2残基フラグメントを連結させることで,順次デストラキシン誘導体の合成を行う.すでにフラグメントの量的供給は達成されていることからライブラリー構築には支障がなく,この際標的タンパク質の同定を行うための官能基を有する誘導体を同時に合成し,続く活性評価によりタンパク質同定に利用可能な誘導体を効率的に見いだすことで,さらなる研究の推進を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は研究の進展に伴うことで発生したものであり,次年度に更なる試薬等の消耗品が必要と見込まれることから,次年度請求額とあわせて使用する予定であり,残額を物品費へ用いることとしている.次年度は物品費に残額を含めた95万,成果発表に要する旅費に20万,機器使用料に10万を使用する予定である.
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