研究課題
ヒトミトコンドリア型ウォブル位修飾ウリジン(xm5U)修飾酵素であるGTPBP3とMTO1の全長遺伝子をC末タグ融合型でクローニングし、HeLa細胞に共発現させ、発現タンパクが共にミトコンドリア局在し、両タンパクが細胞内で複合体を形成することを見出した。これまでの結果からGTPBP3がC末タグにより失活することが示唆されたため、融合タグ除去型のコンストラクトを構築する必要があるが、共発現系からのタグ融合MTO1の精製により、タグ除去型GTPBP3を含む複合体の取得が期待される。HeLa細胞の一過性発現では修飾再構成に必要なタンパク量を得るには必ずしも最適でない可能性があるため、細胞株の選択といった改善の余地がある。引き続きヒト由来コンポーネントを用いた修飾再構成とヒトタンパクの機能解明を目指す。未だxm5U修飾構造が未決定のアーキアに関し、好塩性アーキアのtRNAについてその構造の特定のためtRNA単離を試みたが、従来の条件では精製効率が低く、引き続き条件検討が必要となった。一方、好塩性アーキアで真核生物の細胞質型xm5U修飾遺伝子のホモログ破壊株の作製を進め、遺伝子破壊株を得ることができた。今後はtRNAの単離達成を皮切りに、アーキアウォブル位修飾ウリジンの構造と修飾候補遺伝子との関連を明らかにすることでxm5U修飾の生合成メカニズム解明に近づく必要があるだろう。また、ヒトミトコンドリアtRNA型のxm5UがイカミトコンドリアtRNAの変則暗号系においても用いられることを見出し、xm5U構造の進化的分布と起源解明への貢献があった。
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