研究課題
前年度の今後の推進方策に基づいて、DDB1における未知の修飾部位の決定を行うため点変異体を作成して解析した。結果として、修飾が大幅に低下する変異体は得られたが、完全に消失するものは得られなかった。よって修飾箇所が1アミノ酸にとどまらない可能性が示唆された。また前年度からサリドマイド誘導体であるlenalidomide (len)やpomalidomide (pom)も用いて解析を行っている。前年度の解析によりCI複合体をlenやpomも解離させることが明らかになっていたため、CIをノックダウンしたのち、len, pom処理を行い、多発性骨髄腫株の増殖抑制がコントロール細胞に薬剤処理した場合と比べて変化するかどうかを検証した。結果として、CIをノックダウンすると増殖抑制活性が低下することが判明した。また一方で、CRBNがlen, pomが結合した場合は転写因子であるAiolos, Ikarosを認識し、ユビキチン化することが可能となることを明らかにした(Gandhi et al. BJH 2014)。ただしAiolosやIkarosが四肢形成など発生には関係するという報告はなく、ノックアウトマウスの形質も異なることからAiolos, Ikarosはサリドマイド・IMiDs催奇性の原因を担う因子ではないことが示唆された。これまでの結果を総合すると、サリドマイドやIMiDsはCRBNユビキチンリガーゼの機能を単純に阻害するのではなく、基質特異性を変化させる役割をもつ可能性が考えられる。すなわちリガンド結合により以前の基質は分解されなくなるので結果として、それが阻害しているように見えるのである。その過程でCIの解離が生じることが示唆されており、CIは結合基質が変換する際に具体的にどう関わるのかを明らかにすることが今後の課題となる。
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