研究概要 |
本研究の目的は,「非内在性マイクロRNA(miRNA)を創製し,それを用いて遺伝子の発現を制御する」ことである。この目的を達成するために,平成25年度は以下の5つの項目に分けて研究を進めた。 1. 人工pre-miRNAライブラリーの作製: 前年度までに,ホタルルシフェラーゼ遺伝子の3’-非翻訳領域(3'-UTR)にmiR122の標的配列を含むレポーターベクターの作製,および,成熟miR122鎖のアンチセンス側を部分的にランダム化したpre-miR122 dopedライブラリーを含む発現ベクターの調製を行った。 2. レポーター遺伝子,および人工pre-miRNAライブラリーを発現する細胞株の作製:前年度までに単離したピューロマイシン耐性耐性株を用いて,cell-basedセレクションの条件検討を行ったところ,最適な条件を見い出すに至らなかった。そこで,新たにピューロマイシン耐性株を単離し,各細胞株のピューロマイシン耐性遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより定量し,耐性と発現量の相関を調べた。3. 低分子化合物と人工pre-miRNAとの相互作用をレポーター遺伝子の活性により評価,選別: 2で作製したピューロマイシン耐性株を用いて,化合物に結合する人工pre-miR122の配列を選別する。 4. 化合物に結合する人工pre-miRNA配列をプール化,発現ベクターへの再組み込み:3で得られた配列をプール化し,発現ベクターへ組み込んだのち,HEK293細胞へトランスフェクションする。より厳しい条件(ピューロマイシンの濃度を上げるなど)でセレクションを行う。 5. 得られた人工pre-miRNA配列と化合物による,標的遺伝子の発現制御:3, 4により得られた配列を用い,化合物によって人工pre-miR122のプロセシングが制御できるか,それにより標的遺伝子の発現を調節できるかどうかを検討する。
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