本研究の目的は二つの微量試料の差スペクトルを高感度にNMRで測定することである。NMR以外の分光法ではハードウェア的に差スペクトルをとることが広く行われている。たとえば基準セルを使う分光光度計などである。これにより変化したスペクトル成分だけを鋭敏に取得できる。しかし、NMR法においてはこれまで行われて来なかった。これは差スペクトルを得ることがNMRでは磁場の均一度などに依存しており難しかったためである。本研究では、この問題に着目し、差スペクトルを得るために必要な磁場均一度を試料空間中に得る方法を考案した。
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