• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

地球環境変化に対する湿原植物群集の脆弱性評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23710278
研究機関東京大学

研究代表者

佐々木 雄大  東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (60550077)

キーワード生物多様性保全 / 脆弱性評価 / 地球環境変化 / 希少種 / 生態系サービス
研究概要

高山・亜高山帯に分布する湿原生態系は、我が国における重要な景観・観光資源であり、固有の生物種も多く見受けられる。湿原生態系における植物群集は、温暖化による環境変化に対し最も脆弱な生物相の一つであると懸念されているが、その多様性の保全のための科学的基盤は極めて不足している。
研究対象とした青森県八甲田山系の湿原は、過去の火山活動や積雪の影響で成立した湿原であり、低標高域(600m程度)から高標高域(1300m程度)まで空間的に多数点在しているのが特徴である。
本研究では、青森県八甲田山系に拡がる標高傾度に沿った大小28の湿原群において植生調査、環境要因の測定を行った。これらの野外調査で得られたデータ、空中写真およびGIS(地理空間情報)データを用いて、湿原植物群集の空間分布に着目した解析を行った。
結果、湿原植物群集における種多様性を保全する上で重要な空間スケールを特定し、湿原植物群集における種の消失プロセスとその要因を解明した。また、湿原周辺が、当該地域の亜高山帯における主要樹種であるオオシラビソのレフュージア(温暖化後の逃避地)となる可能性があり、湿原が湿原植物のみならず周辺の生物相保全にとっても重要なハビタットとなることを示唆した。最終的に、これらの成果をベースとして、保全および管理の主体にとっての意思決定の基礎となる、高層湿原の脆弱性地図を作成した。これによって、将来的な環境変化に対して高層湿原を保全し、観光資源としての持続的利用、環境教育としての効果を確保することができるものと考えられる。このような成果は、地球温暖化に対して脆弱な生態系での生物多様性保全への科学的基盤になりうる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Variations in species composition of moorland plant communities along environmental gradients within a subalpine zone in northern Japan.2013

    • 著者名/発表者名
      Sasaki, T. et al.
    • 雑誌名

      Wetlands

      巻: 33 ページ: 269-277

    • DOI

      10.1007/s13157-013-0380-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diversity partitioning of moorland plant communities across hierarchical spatial scales.2012

    • 著者名/発表者名
      Sasaki, T. et al.
    • 雑誌名

      Biodiversity and Conservation

      巻: 21 ページ: 1577-1588

    • DOI

      10.1007/s10531-012-0265-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nestedness and niche-based species loss in moorland plant communities.2012

    • 著者名/発表者名
      Sasaki, T. et al.
    • 雑誌名

      Oikos

      巻: 121 ページ: 1783-1790

    • DOI

      10.1111/j.1600-0706.2012.20152.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 湿原の縮小を決める局所的な要因とそのメカニズム.2013

    • 著者名/発表者名
      山口紘史
    • 学会等名
      第60回日本生態学会大会
    • 発表場所
      静岡(グランシップ静岡)
    • 年月日
      20130305-20130309

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi