浮葉植物ヒシ Trapa japonica が水域生態系にもたらす影響を明らかにするため、植物体の空間構造および植物体表面に形成される無脊椎動物相に着目し、代表的な沈水植物クロモ Hydrilla verticillata との比較を行った。その結果、ヒシよりもクロモの方がより入り組んだ空間構造を取っていることが明らかになった。一方、採集を行った地点の環境要因にはほとんど差はなかったが、無脊椎動物の種多様性は、クロモ表面よりもヒシ表面の方が有意に高かった。以上の結果から、ヒシには多様な付着性無脊椎動物相を維持する「キーストーン種」としての役割があることが示唆された。
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