これまでに日本全国、アジア周辺諸国から収集したナマズ(Silurus asotus)について、ミトコンドリアDNA のControl領域の部分塩基配列を決定し、地域集団(大系統)を特定してきた。より詳細な地域集団および保全単位を決定するために、系統樹の代表的なクレードから数個体を選定し、それらのCytochrome b領域、COI領域、ND4領域の部分塩基配列を決定した。4領域あわせて、3594bpの配列が得られた。それらの配列をもとに系統樹を作成した結果、大系統の中にも、高いブートストラップ値で支持される小系統が複数含まれることが明らかとなった。 また、遺伝的多様性の評価を進めるため、マイクロサテライトマーカーの開発をおこなった。56のプライマーセットを作成し、琵琶湖個体群を材料にマルチプレックスPCRを行った結果、少なくとも42遺伝子座で明瞭な増幅が確認された。
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