研究課題
本研究は、これまで総合的に取り上げられてこなかった旧ソ連中央アジア地域の国際関係に着目した。地理的には、旧ソ連中央アジア地域に焦点をあて、この地域の各国が独立後に地域外の国々(特にロシア、中国、米国、韓国と日本)とどのような関係を構築してきたかの分析を試みた。そして、中央アジア内における諸国間関係を取り上げ、その特徴や各国の外交政策の方向性、外交政策と国内政治のつながりなどを検討した。さらに、現状と国際関係の理論を擦り合わせ、この地域は今後どのような発展の道を歩むのかについて、現時点で確認しうる方向性を提案も試みた。旧ソ連中央アジア諸国の国際関係や地域の安定化と発展は、その多様性・歴史性から重要な研究課題とされてきた。しかし、課題の総合的な理解に有効な仕組みを指摘する研究は非常にまれであった。個別の問題として中央アジア諸国のCISや上海協力機構への参加に関する叙述的な研究か、水問題に関する解説や国境・領土問題に関する研究があるが、そこでは中央アジア諸国間の関係については部分的に言及されているに過ぎない。これに対して、本研究は、①独立から現在までの転換期について、中央アジア諸国が国際社会とどのように接してきたのか、その戦略はいかなるものだったのかを論じた上で、②中央アジアと国際社会の関係について、中央アジアには様々な国際機構や枠組みが存在するが、これらの実態や相互関連性、中央アジア諸国の見解を明らかにし、③中央アジアにおける地域統合がこれまで論題となってきたものの、その過程が現在どのような段階にあるのか、地域統合が中央アジア各国から支持されているにもかかわらず進展しないのはなぜかを分析し、④中央アジア諸国の関係における水問題、領土問題、天然資源を位置づけ、分析を進めた。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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Eurasia Twenty Years After
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