研究課題/領域番号 |
23710292
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 中国 / 内モンゴル / 砂漠化 / 都市化 / 市場経済化 / 生態移民 |
研究概要 |
本研究の目的は、中国内モンゴル牧畜民の都市化の動因とその過程を自然環境災害「砂漠化」と国家環境政策「生態移民」に着目して明らかにすることである。そのために、昨年度に続き、以下3項目の研究計画を実施した。 (1) 資料収集:中国内モンゴルだけでなく、モンゴル国の統計、文献収集およびその分析をおこなった。 (2) 海外調査:中国内モンゴル自治区オルドス市で実地調査、オーラル・ヒストリーの聞き取りを実施した。北京で資料収集をおこなった。「過放牧」対策として生態移民など環境政策が実施されてきたが、「過放牧」は発生していないこと、農業実践が大きく変容していることが明らかになった。都市移住を決断する背景の一つは、干ばつによる家畜数の減少とそれによる収入の減少である。若者の都市への流出も顕著である。ただし、沿岸都市への出稼ぎの事例はまれで、地元での公務員採用の事例が多く観察された。生態移民政策により都市への移住を選択した家族の理由の一つに、地元小都市に就職した、就職を希望する子供の住居提供があった。他方で、移住を選択しない家族も多い。また、牧畜と農業をおこないつつ、世帯の一部のみを移民対象とし、都市に住居の分配を受けるなど、制度を巧みに利用する家族も少なくない。 (3) 研究成果の発信:国内外あわせて4回の報告をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集、海外調査、論文および研究報告による研究成果の発信に関して、その目的を達成することができた。 文献資料の収集では、モンゴル語および中国語、英語文献など貴重かつ重要な資料を収集・分析した。海外調査においても、充実した実地調査となった。研究成果の発信についても国内外4回で報告したが、当初予定したモンゴル国とロシア連邦での報告は現地調査および資料分析を優先した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、資料収集、海外調査、国内外での学術発表をおこなう。詳細は下記のとおりである。 ①資料収集:日本語だけでなく、英語、中国語、モンゴル語の関連する文献資料を国内外で収集するとともに資料の分析を進める。 ②海外調査:中国内モンゴル自治区で補足調査をおこなう。 ③国内外での学会、国際会議:8月に内モンゴル大学と内モンゴル師範大学との共催で研究集会を開催する予定である。その旅費と開催にかかる費用を計上する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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