研究課題/領域番号 |
23710298
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 奈穂 京都大学, 東南アジア研究所, 特任研究員 (10600108)
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キーワード | カンボジア / フィールド調査 / 統計分析 |
研究概要 |
本研究はシングルマザーがいかに働き,いかに資金を得て,いかに子や老親をケアしているのかを明らかにすることを通して,所得貧困の回避とリスク対応が可能となる生存基盤のあり方を探究することを目的としている。また,東南アジアと日本の事例の比較研究により広義の「貧困」概念の理解にも貢献することを目指している。 本年度はカンボジア農村におけるシングルマザーと土地の権利に関する英語論文(2013年4月現在・査読中)を執筆するとともに,カンボジアでの追加調査および沖縄離島地域においてフィールド調査を実施した。沖縄での調査では県立図書館郷土資料室等において沖縄の女性の現状,歴史,相互扶助的社会慣行等に関する資料を収集し,文献のサーベイを行なった。 また,離島地域においてはシングルマザーへの聞き取り調査を実施するとともに,村役場および保健センター,高齢者施設等でインタビューを行なった。 沖縄離島地域のシングルマザーには概して低所得の傾向が見られたが,悲壮感や孤独感が感じられない。その背景には親族のつながりと日常的に積み重ねられる「ご近所付き合い」が生活の基盤を支えるセイフティーネットとなりリスクを支えていることが明らかになった。 しかし,平成24年度に予定していた沖縄離島調査では,度重なる台風の直撃および接近によりその中断および中止を余儀なくされた。次年度に資金を持ち越し,さらに詳細な調査を実施するとともに成果の発表に尽力していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の5月から9月まで沖縄に滞在し,那覇での資料収集及び離島でのフィールド調査を実施したものの,その間に16もの台風が沖縄地方に接近あるいは直撃し,離島における調査に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度前半は,追加調査を実施するとともに,後半ではその成果の発表にあてる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度前半は主に沖縄での追加調査実施のための研究費を支出する。 また,後半には研究成果発表のための支出を行う。
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