地域固有の植物景観を形成する要因の一つとして、人間とタケ類との関わりと植物としてのタケ類がどのように伝播し、拡散しているのかを東南アジアにおける少数民族にみられるタケ類の利用をモデルとして調査した。リス族、ラフ族、モン族、アカ族は10種程度のタケ類を利用に合わせて使っている。4つの民族は共通して竹製の笙を使うが、材料のタケの種類は、ラフ族、リス族、アカ族では共通して自生種を使い、モン族では自生ではない温帯性のタケ類を栽培し、使用する。モン族は、文化的背景のもと笙を葬儀に使う特別なものとして扱うためにその材料となるタケを伴って居住地を移動し、資源供給の確保のために栽培することが明らかになった。
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