研究課題/領域番号 |
23710310
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
松田 正彦 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (60434693)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ミャンマー / サイクロン / 高潮 / 稲作 / 国際協力 |
研究概要 |
本研究は、ミャンマーで2008年に発生したサイクロン災害を主な事例として、当初の期待通りに復興が進んでいない生業セクター(特に稲作農業)における被害把握や復興支援活動の一連のプロセスを農学や生態学の観点から検証し、復旧・復興が遅延したメカニズムを解明することを目的としている。具体的には、被災地域の住民の主生業であり復興支援の主な対象でもある稲作農業に焦点を絞り、(1)稲作農業の被害実態と分布特性、(2)稲作農業への復興支援の内容と分配メカニズム、(3)稲作における被害(支援ニーズ)と支援とのマッチング/ズレの実態、を明らかにすることを試みる。その上で、自然災害への緊急支援・復興支援の分野において、これまで有効利用されてこなかった農学・生態学的な地域特性情報の活用可能性を提示することを目指している。 2011年度は、被災地域の農業生態データと被災後3年間の稲作被害のデータについて分析をおこない、災害直後のコメ減収レベルとその回復状況をまとめた。その結果、政府統計からは読みとることができなかった被災直後のコメ減収を広範囲で具体的に把握した。政府公式統計を代替する意味でも、現地調査データの記録としての重要性が示された。また、被災翌年にはナルギス被災以前の収量水準まで回復している事例がある一方で、3 年目でもなお平年収量水準の半分以下にとどまっている地域があるなど、回復プロセスにおいて地域性が認められた。今後の支援が必要であるとともに継続的な調査の重要性も示された。これらの知見を、農業開発に関連する学会と開発援助関係者向け研究会において報告した。また、ミャンマー出張を実施し、おもに政府による復興支援活動に関する情報収集と、被災後4年目となる2011年雨季稲作の実態調査の実施に向けた現地協力機関との協議をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的のひとつである稲作農業の被害実態と分布特性の解明に向けたデータ分析は順調に進んでおり、現時点までに得られた情報に基づく考察結果を学会と研究会で公表することができた。さらにデータを補うことで、この目的は達成できると考えている。これにより、他の研究目的――稲作農業への復興支援の内容と分配メカニズム、および稲作における被害(支援ニーズ)と支援とのマッチング/ズレの実態の解明――の達成に向けた基盤が整うことが期待できる。一方、ミャンマー国の政治情勢の変化に応じて、データ取得手段における若干の計画変更をおこなったが、ミャンマー国農業灌漑省の継続的な協力もあり、研究遂行に大きな支障はない。以上からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
稲作回復状況についてのデータを追加収集し、より長期的な稲作の被害継続と回復の実態を把握する。さらに復興支援に関する定性的データを追加収集し、稲作農業への復興支援の内容と分配メカニズムを分析する。これらから当該事例における被害(支援ニーズ)と支援との整合性について考察する。また、ミャンマー・サイクロン被災事例で明らかになった知見の一般化に向けた検証を開始する。さらに、他地域における農村部の自然災害事例について二次資料を収集・分析する。研究成果の公表のため論文執筆や研究報告をおこなう。 2011年度には国際機関・NGOによる復興支援活動についての聞き取り調査・資料収集のための現地調査を実施しなかったため未使用額が生じたが、2012年度に当該本調査を実施する(上記、復興支援に関する定性的データの追加収集に該当する)。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、調査委託経費として使用する。2011年度に準備を完了した現地研究協力機関によるイラワジデルタにおける農村現地調査を実施し、稲作回復状況などに関する農家レベルデータ収集とデータ整理をおこなう。また、研究代表者のミャンマーへの現地調査経費として使用する。これはヤンゴンなどにおける復興支援活動に関する聞き取り調査と資料収集の実施にかかる経費である。現地研究協力機関とヤンゴンまたはネピドーにおいて稲作被害調査の実施・成果に関する協議を実施するが、これにかかる費用も含まれる。さらに、現時点までの研究成果を学術論文として公表に関する経費として使用する。論文作成・投稿・公表にかかわる費用である。これらの3点がおもな使途である。加えて、他地域における農村部の自然災害事例に関する資料収集などにも研究費を使用する計画である。
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