研究課題/領域番号 |
23710313
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
増野 高司 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (40569159)
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キーワード | タイ北部 / ベトナム北部 / 焼畑 / 常畑化 / 森林保護政策 / 換金作物 / トウモロコシ / ゴム |
研究概要 |
2012年度には、タイ北部および東北部、およびベトナム北部の農村において現地調査を実施した。具体的には、2012年11月および2013年1月にタイ北部の農村、2012年7月に東北タイの農村、2012年8月および12月にベトナム北部の農村を訪問し、稲作の栽培様式に着目し、焼畑の実施状況および衰退状況について調査を実施した。さらに、例えば、出稼ぎそして小規模な家畜飼育や森林産物の採集など、稲作以外におこなわれる生業および経済活動に着目し、焼畑衰退後の生計維持手段に関する調査を実施した。 その研究成果について、2012年度には4編の学術論文を執筆するとともに、9回の学術発表をおこなった。とくにタイ北部のミエン族が暮らす農村における生業および経済活動の変化に関して論じた論文を出版した(MASUNO Takashi 2012. “Peasant Transitions and Changes in Livestock Husbandry: A Comparison of Three Mien Villages in Northern Thailand”. The Journal of Thai Studies. 12:43-63.)。この論文では、焼畑が衰退した農村において、陸稲の栽培が継続されることが多いこと、そしてブタやニワトリなどの世帯レベルでの小規模な家畜飼育が継続されていること、換金作物への食害が頻発によりウシ飼育が困難になっていることを報告した。また、小規模な家畜飼育が農業を引退した高齢者にとって重要な日々の活動になっていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイ北部の研究については、その成果について学会での発表を続けるとともに、学術論文として公開しつつある。また,焼畑の衰退過程について、東北タイの山村を訪問し焼畑の衰退に関し知見を得たことから、タイ北部だけでなく、広くタイにおける焼畑の衰退過程の解明に向けた分析を開始している。タイにおける研究は順調に進展しつつある。 タイ北部以外の地域について、ベトナムの植物資源センター(Plant Resource Center)の協力により、2011年度の予備調査に続き、2012年度にはベトナム北部のミエン族が暮らす農村を訪問し、世帯レベルでの土地利用・資源利用に関する調査を実施することができた。現在、ベトナムでの調査結果の分析を進めるとともに論文を執筆中である。ベトナムにおける研究もきわめて順調に進みつつあると考えている。ラオスに関しては、文献収集を実施するとともに、文献研究を開始しており順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
タイおよびベトナムでの現地調査が、順調に進展していることから、調査および分析を継続するとともに研究成果の公開を中心に活動する予定である。 2013年度は、最終年度であることから、現地調査に関しては、研究成果の公開に向けて、これまでの調査結果に追加する形での補足調査を実施する予定である。 研究成果については,国内の学会(日本文化人類学会、日本熱帯農業学会,日本地理学会)で発表するとともに,学術論文として順次公開してゆく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
タイ北部およびベトナム北部での短期での補足調査を各1回ずつ予定しており,これに必要な旅費および調査費を計上した.また,学会発表において本研究課題の研究成果を報告することから,学会参加に必要な経費を計上した。さらに、論文の公開に向けて、英文校閲に必要な経費を計上した。
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