本研究では、ベトナム、カンボジア、アメリカ西海岸、中国・海南島、タイ、マレーシアにおいてチャム系住民の実態に関する現地調査を実施した。具体的には各地域のチャムのコミュニティにおいて言語状況や宗教的知識の伝達媒体、モスクの外観や礼拝の様子などを観察し、可能な限り聞き取りを行い、ベトナム中部から各地に拡散して暮らすチャムのイスラーム的宗教実践についての実態把握に努め、その多様性およびエスニシティと宗教の関係に関する考察を行った。また、ベトナムやカンボジアにおいて独自に展開してきたチャム・バニのイスラーム的宗教実践の事例を通し、東南アジア大陸部におけるイスラーム的宗教実践の特徴が明らかになった。
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