研究課題/領域番号 |
23710315
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研究機関 | 島根県立大学短期大学部 |
研究代表者 |
渡部 周子 島根県立大学短期大学部, 総合文化学科, 講師 (70422582)
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キーワード | ジェンダー / 女子教育 / 少女 / 美術史 |
研究概要 |
平成24年度は、平成23年度に得た成果を補強、発展すべく、下記に挙げた方法に基づき調査研究を行った。調査の成果、得ることのできた知見等を以下に示す。 1 医科学関係資料、教育関係資料等の文献資料を対象とした調査 「少女」期の心身は、女性の人生の中でも、とりわけ「虚弱」な状態にあると医科学は位置づけた。この医科学の理論は、教育界に影響を及ぼし、男女の教育格差に対する理論的正当性を与えた。 2 絵画、写真、挿絵、広告画等の図像資料を対象とした調査 (1)「絵画、写真、挿絵の調査」 1 の方法によって明らかにすることのできた、「少女」の心身を虚弱だとする医科学による位置づけは、視覚的にはどのように表現されたのか。この問題を明らかにするため、絵画、写真等の図像資料を対象とした調査が必要だと考えた。また、マスメディアを考察対象とすることによって、大衆に普及した女性イメージについて、分析することが必要だと考えた。そこで、雑誌等で活躍した挿絵画家についての調査を行った。これは(2)に挙げた、広告画に描かれた女性像を相対化して捉えるうえで、有効な方法であった。 (2)「広告画の調査」 女性の心身の特質を説明する医科学の理論が、大衆化し流布するプロセスを探るという目的のもと、新聞、雑誌に掲載された婦人向けの市販薬の広告画に着目した。女性(とりわけ少女)の心身を虚弱だとする医科学の知が、どのような形態の女性像として、広告画において視覚化されたのかということを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に千葉大学から島根県立大学短期大学部に移動したため、資料が集積している首都圏が地理的に遠方となった。この点による影響はあるものの、学術研究助成基金助成金を旅費として使用することで、調査研究を続行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
1 医科学関係資料、女子教育関係資料等の文献資料の調査を続行する。 2 絵画、写真、挿絵、広告画等の図像資料の調査を続行する。 3 ダーウィン進化論における「性淘汰」に関する理論が、女子教育に与えた影響について分析する。その際、女性の身体の美しさに関わるジェンダー規範との関係を考察するために、「美容」という問題についても検討する。 4 1~3に挙げた方法による分析に際して、明治以降より現代の少女イメージを視野に入れることで相対化を図り、これにより分析の効率化を引き続き目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内旅費。書籍等の資料の購入費。電子機器の購入費。複写費。
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