研究課題/領域番号 |
23710324
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研究機関 | 大月短期大学 |
研究代表者 |
宮崎 理枝 大月短期大学, その他部局等, 准教授 (20435283)
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キーワード | イタリア |
研究概要 |
本研究の目的は、インフォーマルケアと市場ケアの役割に着目しつつ、女性の仕事と家庭の両立における現状と政策的対応との2点を明らかにし、分析することにあった。平成24年度に行った主要な研究は次の2点である。 第1には、母親の就業の在り方を明らかにした。日本の7歳未満の子を持つ女性の就業の推移を、世帯別、子の年齢別に、1990年から2010年にかけて、パートタイム就業の推移に特に着目しながら考察した。結果として、最もケア義務の大きいと考えられる0-3歳の子を持つ母親の就業率が最も高まっており、且つそのことはパートタイム労働で見られることを明らかにした。この考察が、後の【現在までの達成度】に記しているような状況の原因となっている。同時に、この考察は、再分析を重ねて、2013年5月中に、海外ジャーナルに投稿予定である。またこの分析の中心的な部分については、研究論文を『大月短大論集』第44号に掲載した。 第2には、母親の就業を補完するとみられる市場ケア労働者について、イタリアの事例に着目し、今日これを主として担う移住ケア労働者の増加要因としての正規化施策の概要と、その結果としての2000年代後半以降の、当該労働者の就業の非可視性の高まり、すなわち、滞在状態、労働契約、さらには労働時間や労働内容がより「適正」ではない状況に集中する状況について論考をまとめ、研究論文が『大原社会問題諸研究所雑誌』653号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、インフォーマルケアと市場ケアの役割に着目しつつ、女性の仕事と家庭の両立における現状と政策的対応との2点を明らかにし、分析することにあった。このうち、昨年度前半までに成果をまとめていた前者について、海外の専門家から有益なコメントを得て、研究方法等の見直しが必要となった。これによって、前者の研究成果は、当初の想定を超えた新たな知見を得られる見込みであるが、同時に、後者の考察の進捗状況がやや遅れる結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の【現在までの達成度】の理由から、本年度は、女性の仕事と家庭の両立の状況の分析における分析手法の練り直しを引き続き継続する。さらに、政策的対応の詳細を、現地調査の実施を通じて、明らかにする。その結果については、論文にまとめ、海外のジャーナルに投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記「今後の研究の推進方策」に記したように、基本的には、繰り越した費用のうち、35万円を現地調査の費用に、15万円を英文校正に使用する予定である。
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