本研究は、「笑い」論を出発点に、ベルクソンの定義論と情動論を検討した。それぞれの主要な成果を一点ずつ挙げる。 1. 彼の笑い論の独自性の一つに(定義ではなく)親縁性で繋がりあう諸変奏の主題の把握を目指すという方法がある。これはある種の社会論の試みと捉えることができ、その視点からは、知性/直観の二元論をはみ出す認識論を彼が構築していたことが分かる。 2. 彼は情動にある種の認識的役割を認めており、その十全な活用は、笑い論に加えて『道徳と宗教の二源泉』での神の存在証明に見て取ることができる。それはいわば「哲学者の神」が「アブラハム、イサク、ヤコブの神」でもあることを示す「間接的な存在証明」である。
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