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2011 年度 実施状況報告書

前期から最晩期へ至るウィトゲンシュタインの世界観の変遷

研究課題

研究課題/領域番号 23720003
研究機関山形大学

研究代表者

山田 圭一  山形大学, 人文学部, 准教授 (30535828)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード世界 / 言語 / 否定 / ウィトゲンシュタイン
研究概要

一年目は、ウィトゲンシュタインの世界観の内実と来歴を探るために、前期の遺稿を中心として、そこで考えられていた言語と世界の関係についての分析を行った。 まず、前期ウィトゲンシュタインの主著『論理哲学論考』、およびその下書きとなった『手稿』において、命題が偽であることと命題を否定することがそれぞれどのように考えられているのかを分析した。その結果として、「命題と現実との不一致」という考え方がはらむ問題点が析出されるとともに、「否定の領域の確定性」を前提とした前期の世界観が明らかになった。 続いて、『論理哲学論考』以降に書かれた「論理形式についての若干の考察」をもとに、命題の「矛盾」と「排除」との違いがどのように捉えられているのかを分析した。その結果として、否定可能性と異なる文法的可能性の領域設定の内実を明らかになり、要素命題の相互独立性を放棄した後のウィトゲンシュタインの世界観の一端を析出することができた。 以上の前期から中期へ至るウィトゲンシュタインのテキスト分析によって、命題の否定領域が単一に確定している前期の平面的な世界観と、異なる文法体系に応じた異なる否定可能性の領域を含んだ中期以降の多層的な世界観との対比が明らかにされた。そのうえで、言語ゲーム内部における否定可能性と、言語ゲームそのものが成立しないという可能性という対比のもとで、最晩期の思索において展開されることになる言語ゲームの可能性の条件としての偶然的事実についての考察の来歴を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定では、前期ウィトゲンシュタインの独我論的世界観についての考察にまで踏み込む予定であった。しかしながら、主体と世界の関係に踏み込む前に、言語と世界の関係に関する考察において重要な問題を発見して、そちらの問題の分析に当初の予定以上に時間を取られてしまった。

今後の研究の推進方策

大きな研究の方向性については、当初の予定を変えずにそのまま遂行していく。しかしながら、一年目の研究で明らかになった「否定可能性」を巡る問題は重要な論点であるので、これをウィトゲンシュタインの世界概念の分析に組み込みながら、引き続き中期以降のウィトゲンシュタインの世界観についての考察を行っていく予定である

次年度の研究費の使用計画

初年度に購入する予定であった書籍関連でいまだに購入できていないものが多数存在するので、基幹テキストを中心として次年度に買いそろえていく予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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