研究課題/領域番号 |
23720007
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
朝倉 友海 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30572226)
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キーワード | 国際情報交換 台湾・中国・アメリカ・カナダ |
研究概要 |
当年度は、台湾における現代新儒家の国際会議に出席し、現代新儒家と京都学派哲学との比較研究における基礎的研究成果の発表(On the Principle of Comparative East Asian Philosophy: Nishida Kitaro and Mou Zongsan)を行い、この現代新儒家研究の大家や中堅・若手の研究者たちと交流を深めることができたことが、最大の収穫であった。 この発表内容はその後、台湾中央大学の学術誌へ論文としての投稿を求められ、すでに査読が済み、掲載決定となっている。この論文は近日中に発刊されるが、これにより日本における京都学派の視点からの現代新儒家研究の成果を、中国語圏の学界にも広く知らしめることができるため、本研究の成果としてきわめて重要である。 一方、国内においては、『理想』誌に当研究に関係する研究論文を掲載した(「覚」をめぐる東アジア哲学:西谷啓治と牟宗三)。これは、日本の学界に向けて当研究の成果を公表するうえで大きな意味をもつ。 その他、当研究の成果を、日本語および英語の二つの学会にて発表した(「東アジア哲学の比較研究をめぐって:京都学派と現代新儒家」、および「Basho and Perfect Teaching」)。特に、海外の著名な学者を招いて行われた後者においては、当研究に深くかかわる有力な台湾の研究者(黄文宏および林鎮国)と活発な研究交流を行うことができ、今後の研究の進展に大きく資することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。第一に、研究者との交流が順調に進んでいる。第二に、海外での学会発表や海外のジャーナルでの論文公刊が順調に進んでおり、今後の発表の準備も順調に進展している。 また、当初の研究計画のなかでこれまで実現していない海外の研究者の招聘に関しては、予定していた研究者が他のプロジェクトにより来日したり海外の学会を通して十分な交流が可能となったため、それにより実質的に代替できることとなった。 他方、資料の収集は、研究機関の移動に伴い、これまで利用可能であった多くの資料を新たに入手する必要性が出てきた。そのため、当初の計画より若干多く行わねばならないようになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、引き続き海外での研究成果の発表を予定している。昨年度、活発な学会参加によって研究交流をおこなったことにより、本研究(京都学派と現代新儒家の比較研究)の大きな意義が、国内外を問わず、徐々に認知されてきている。そのような状況をふまえて、また、これまでの研究成果に対する反応を受け止めつつ真摯に応答することを通して、さらなる研究の進展とその成果の公表に全力を尽くす必要がある。 学会発表の他、公刊をひかえて執筆中の論文、および、当初予定していたように、単著の単行本の執筆計画が進行中である。後者に関しては、すでに国内の出版社での企画は通っており、これまでの研究成果を集大成することで執筆を進めなければならない。執筆に大幅な時間をさかねばならないため、今年度中に公刊が実現しない可能性が高いが、いずれにせよ、これらの執筆を進めるために今後も追加的に資料収集を続ける必要が出てきている。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として図書購入費が五十万円、また旅費はこれまでより多い五十万円が必要となる予定である。これまでのところ外国語論文の校閲に関して人件費・謝金は不要のまま推移しているが、次年度は必要になる可能性があり、その場合は物品費を削減して充てる予定である。
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