研究概要 |
最終年度には、国際的な会議での発表として、オーストラリア国立大学と台湾大学において、当該研究に関する口頭発表が実現した。後者に関しては、その後、中国語による論文の投稿へとつながった。また、いくつかの論文の公刊が実現することとなり、特に、京都学派と新儒家の比較研究をめぐる、英語による二本の論文("On the Principle of Comparative East Asian Philosophy," "Converging East Asian Philosophies")は、本研究の総決算としての内容をもっている。これら以外にも、英語・中国語・日本語による投稿中の論文がそれぞれ一本ずつあるが、その公刊は間に合わなかった。 次に、研究期間全体を通じた研究成果について述べる。 全体としては、中国語圏(特に香港・台湾)および英語圏(北米・オーストラリア)における両学派の研究者との研究交流が著しく進んだ点に、大きな意義がある。口頭発表では、国際会議・学会における発表が数多く実現し、海外からの注目が高まった。これらに基づき、論文の公刊もまた数多く実現することとなった。期間中に公刊された論文は、英語三本、日本語四本であるが、掲載決定済みの論文や、投稿中の論文を含めると、実に十以上の論文が完成したことになり、またその使用言語に関しても、英語・中国語・日本語の三言語にわたるものとなっている。当初予定していた著書の刊行は、研究期間においては実現しなかったが、英語による本の一章の掲載は決定しており、また日本語による著書の計画を進めている。 これらの活動を通じて、京都学派と新儒家の比較研究の原理について研究が進み、それによって両学派の統合理論の可能性が示されるに至った。また、両学派への比較研究的なアプローチの重要性が国内外において一定の認知を得ることとなったことは、学術的な貢献として特記される。
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