1.Rememberが動名詞を目的に取る際に表現する経験記憶の概念と日本語におけるその表現の研究、及び経験記憶に関する両言語の表現上の相違が人格の同一性についての記憶説の定式化にどのように影響するかに関しての研究を、昨年までの成果を踏まえてさらに深化させ、海外研究集会で口頭発表するのと並行し、論文を執筆・投稿した。論文は残念ながら採用されなかったが、査読者のコメントを踏まえ、内容の修正・改善に取り組んだ。 2.昨年度に実施したrememberの用法と「覚えている」の用法の違いを調査するアンケートのフォーマットとその結果を再検討し、フォーマットと質問内容を精査・改善したアンケートを日本とアメリカで実施した。このアンケートの結果から、that節を目的に取る用法と動名詞句を目的に取る用法の表現する概念の違いが「覚えている」が「こと」と「の」を目的に取る用法の違いによっては表現できないことを確認することができた。 3.2で得られた実験結果を1で検討した議論と関連させ、ドイツで行われた哲学と言語学的な手法との関係に関する研究集会で報告した。 4.「思い出す」と「覚えている」の用法を主にコーパス上で調査、その結果を英語の記憶動詞の用法と比較し、二つの表現がそれぞれ表す概念の関係を検討した。また昨年までの研究を踏まえ、この調査結果を国内学会で報告し議論を深めた。
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