研究課題/領域番号 |
23720023
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
竹元 規人 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80452704)
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キーワード | 中国哲学 / 『古史辨』 / 疑古 / 顧頡剛 / 史学史 / 白鳥庫吉 / 内藤湖南 / 上古史 |
研究概要 |
今年度はまず昨年度の研究成果発表を行った。昨年度の研究実施状況報告書に記載した通り,平成24年5月に九州中国学会大会で報告を行い,その内容を改訂のうえ『九州中国学会報』に投稿し,近刊予定である。また,これまでの研究成果を反映させた顧頡剛の伝記を執筆した。『講座 東アジアの知識人』(有志舎)に収録され,これも近刊予定である。 今年度新たに開始した研究としては,交付申請書の研究実施計画に基づき,顧頡剛の疑古学説と,同時代日本の学説の比較に主に取り組んだ。具体的には,主に白鳥庫吉のいわゆる「堯舜禹抹殺説」,富永仲基の加上説に着想を得た内藤湖南の「『尚書』編次考」および中国上古史講義と,顧頡剛の主に初期の学説を比較した。白鳥と内藤の所説は大きく異なるが,ともに顧の立論とも異なっており,明白な影響関係は見出しがたいと考えられる。この研究内容については,昨年に引き続き平成25年5月の九州中国学会大会で報告し,報告後論文として発表する予定である。 今年度の研究の意義・重要性としては,従来懸案であった顧頡剛の疑古学説と日本の学説の関係について,論者の学説とその論理に即した比較を行うことで,日本と中国とで同時代的に進行した中国古代史研究に関し,着実な研究方法・結果を提示したことにある。 また,中国における疑古史学のもう一方の比較対象として,西洋における聖書の史実性をめぐる議論や聖書考古学に関しても資料収集を行ったが,これについてはなお継続して研究を進めることとしたい。 (以上成果発表は論文1件,図書1件,学会発表1件であるが,発表時期の関係で次年度の報告書に記載する)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に沿って,本年度に計画した研究を実行し,次年度以後の研究につなげる見通しを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究成果の発表を進める。また,同年度の研究で明らかになった事項を踏まえながら,研究開始時の交付申請書における研究実施計画に基づき研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付申請時に記載した平成25年度の研究実施計画を遂行するため,研究費を使用する。平成24年度の繰越金は,同年度分の0.8%であり,金額も1万円に満たず,わずかであるため,当初の予定を変更することを要しない。
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