世親(Vasubandhu)の手になる『釈軌論』第2章について、主に訳注研究を行った。世親は同章で103の経節を阿含(アーガマ)から引用して解釈するが、その103の経節のうち、ほぼすべてを現存の阿含・ニカーヤに出典を求めることができた。もっとも多いのが『雑阿含』で、次いで『中阿含』(前者の半分ほど)であり、『長阿含』からは二経のみであった。そして、その出典比定により、サンスクリット原語を想定しながらの正確な訳読を目指した。和訳注の全貌に関しては、2014年中にまとめて書籍の形で刊行する予定であり、それに向けて引き続き訳語や書式の統一や索引作成を行っている。
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