研究概要 |
本研究は、エジプトの宗教的マイノリティであるコプト・キリスト教の修道院を事例とし、現代エジプトにおけるコプト修道院の意味と役割を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は3月に聖サミュエル修道院でのインタビュー調査および参与観察を行なった。エジプトの他修道院が多少なりとも観光の要素を持っているのに対し、聖サミュエル修道院は伝統的修道生活を維持している点がこれまでに明らかになった。本年度の調査では、同修道院が、伝統的修道生活維持のために、一般信徒の力を借りて、河岸段丘の岩壁に洞窟を作り、修道士の瞑想のためのセルとしていることも明らかになった。 エジプトでは平成23年初頭に民衆革命が起こった。そのため、エジプトでの調査がこれまで通りできないことが多くなった。これに伴い、当初の計画にはなかったが、エジプト国外に移民したコプト・キリスト教徒への調査も行うこととなった。これまで、革命の影響やエジプトとのつながりを調べるためのインタビュー調査をフランスで行ったが、本年度は、調査対象をカナダのコプト移民にも広げた。その成果は、国際会議で発表した(Maki Iwasaki “Coptic Egyptians and Migration: St. George and St. Joseph Coptic Orthodox Church in Montreal, Canada as a Case Study” at Tunisia-Japan Symposium on Society, Science and Technology (TJASSST)’13 at El Mouradi Hotel, Yasmin Hammamet, Republic of Tunisia on November 16, 2013)。また、これまでのコプト・キリスト教に関する研究も一部反映された業績以下にまとめた(岩崎真紀「アラブ諸国」山中弘・藤原聖子編『世界は宗教とこうしてつきあっている-社会人の宗教リテラシー入門』』弘文堂、212-231頁、総ページ数264ページ、2013年12月)。
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