本研究は、エジプトの宗教的マイノリティであるコプト・キリスト教の修道院を事例とし、現代エジプトにおけるその意味と役割を明らかにすることを目的とした。具体的には、上エジプトの聖サミュエル修道院を事例とし、現地での参与観察およびインタビューを行うなかで、他のコプト修道院が多少なりとも観光の要素を持っているのに対し、同修道院は伝統的修道生活を極力維持していることが明らかになった。エジプトでは平成23年初頭に民衆革命が起こり、それまで通りの現地調査が難しい状況に陥った。これに伴い、調査対象をフランスとカナダへのコプト移民たちにシフトし、彼らが異国にいても熱心に宗教実践を行っていることを明らかにした。
|