研究課題/領域番号 |
23720040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川名 雄一郎 京都大学, 白眉センター, 助教 (20595920)
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キーワード | 功利主義 / 哲学的急進派 / ジェイムズ・ミル / ジョージ・グロート / ジェレミー・ベンサム / 国際情報交換・イギリス |
研究概要 |
今年度は、ジェイムズ・ミル、ジョージ・グロートについて、主としてイギリスのブリティッシュ・ライブラリー、ロンドン大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ロンドン・ライブラリーに所蔵されている未公刊のものを含めた一次資料および二次文献の読解を進めた。 ジェイムズ・ミルについては、歴史学が政治学において果たす役割についての認識および古典古代に対する見解を、主に未公刊資料に拠りながら検討をすすめた。グロートについては、これまでさまざまに論じられてきてはいるものの曖昧な点のあったベンサムやジェイムズ・ミルとの関係について再検討をすすめるとともに、グロートが歴史学という学問についてどのような認識をもっていたかについて検討した。また、ジェイムズ・ミルを中心として、グロート、ディヴィッド・リカード、ジョン・オースティンといった哲学的急進派として言及される思想家グループの(およびその外部との)ネットワークについて分析をすすめ、政治的立場と理論的見解の複雑な関係についても分析をすすめた。これらの作業について論文や口頭発表などの形で研究成果をとりまとめるのは次年度の課題となる。 また、昨年度よりすすめてきたJ・S・ミルの功利主義社会理論についての研究を以下の単著としてまとめて出版した。川名雄一郎、社会体の生理学――J・S・ミルと商業社会の科学、京都大学学術出版会、2012年、ix+356頁。 さらに、研究活動の一環として、研究課題に関係する重要文献の翻訳を出版した。フィリップ・スコフィールド著、川名雄一郎・小畑俊太郎訳、ベンサム――功利主義入門、慶應義塾大学出版会、2013年xi+262頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の点で、研究は計画にそっておおむね順調に進展していると考えられる。まず、イギリスのブリティッシュ・ライブラリーやロンドン大学をはじめとする資料所蔵機関における所蔵状況についてはほぼ確認し、現在は当初の予定通りに資料を収集・分析を進めることができている。また、昨年度よりすすめてきたJ・S・ミルの功利主義社会理論についての研究成果を単著としてとりまとめた。 なお、研究対象としている思想家のうちジョン・オースティン(法学)とディヴィッド・リカード(経済学)については、公刊されている一次文献についてはほぼ検討を終わっているものの、未公刊資料についてはまだ検討に時間をかける必要があり、さらにリカードについては検討するべき2次文献がまた残されている。ただし、これらを勘案しても研究は当初の計画通りに進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究課題の最終年度にあたるので、引き続き史料の収集・分析を進めるとともに、研究成果のとりまとめを主要な作業としておこなう予定である。年度前半には 資料収集および研究者との情報交換のためにイギリスのロンドン大学およびユニバーシティ・カレッジ・ロンドンを訪問する予定である。 研究成果のとりまとめについては口頭発表および論文投稿のほか、本研究課題の成果を取り込んだ著作の執筆も引き続き進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主に、一次・二次文献の購入、資料収集、研究者との情報交換および学会等参加のための旅費(国内および国外)として使用する予定である。 なお、今年度の11月にイギリスのロンドン大学を訪問し所属研究者との情報交換などを行う予定であったが、先方の体調不良により、次年度に再度予定を調整することになったために、今年度の研究費の一部については次年度に使用する予定である。
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