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2012 年度 実施状況報告書

イングランド啓蒙における「保守派」女性の政治言説に関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23720046
研究機関青山学院女子短期大学

研究代表者

梅垣 千尋  青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 准教授 (40413059)

キーワード女性 / 政治 / 保守主義 / 啓蒙 / イギリス / フランス革命
研究概要

本研究の目的は、18世紀末のイングランドで「保守派」の立場から政治論を展開した女性思想家の存在を掘り起こし、その政治言説の分析を通じて、イングランドにおける「保守的啓蒙」の広がりとその内部の緊張を明らかにすることにある。具体的には、フランス革命の勃発を契機として、1790年代から1805年ごろにかけて既存の名誉革命体制の維持や宗教的権威への服従を呼びかけた女性著述家たちの思想と、その自己形成過程を分析対象としている。二年目にあたる本年度は、まず昨年度におこなった海外出張による史料調査から得られた書簡のデータの整理をおこない、ハナ・モアがウィリアム・ウィルバーフォース、ザカリー・マコーリらと交わした書簡と、1794年に書いた日記の内容を検討した。これにより、フランス革命とともに広がった民衆的急進主義に対抗してモアがこころみた民衆懐柔のための「チープ・リポジトリー・トラクツ」出版のプロジェクトへの彼女の関与のあり方を確認することができた。こうした史料調査をおこなう一方で、本年度にはとくに女性がみずからの「思想」を「公論」の場に提示するうえでの主体形成の過程をつかみとるための理論的な検討をすすめた。いわゆる大思想家ではなく、また「公論」の担い手としてふさわしくないとされた女性たちの思想形成のあり方を理解するためには、従来の思想史研究の枠組みを方法論的に再検討する必要があることを確認し、文化史やジェンダー史といった新たな研究分野との接合の可能性を探った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

史料調査の面では進展しているものの、女性の思想形成のあり方を理解するための理論的・方法論的な検討がなおも不十分となっており、論文のかたちでまとめきることができなかった。

今後の研究の推進方策

史料の分析・精読をさらに深めるとともに、理論的・方法論的な整理をすすめつつ、「保守派」女性の政治言説をみることで新たにどのような思想史研究上の貢献がなしうるのか明確にしたい。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画どおりに文献購入や出張旅費にあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 「書く女たちの野望─出版という自己実現」伊藤航多・佐藤繭香・菅靖子(編)『欲ばりな女たち ─ 近現代イギリス女性史論集』所収2013

    • 著者名/発表者名
      梅垣千尋
    • 総ページ数
      19-54(全402頁)
    • 出版者
      彩流社

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公開日: 2014-07-24  

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