本研究では、主としてベッリーニ工房とヴィヴァリーニ工房という15世紀を通じて隆盛を誇った両工房が、異なる制作の様相をみせはじめる1470年代を軸に、その前後に制作した祭壇画と小規模板絵をヴィヴァリーニ一族の作品を中心に調査・分析した。その際各地に現存する、同信会によって注文された祭壇画を中心に同時代資料の読解を進め、〈聖母子〉から派生した中心的な図像がヴィヴァリーニ工房でどのように制作されたかという諸事例について詳細に分析した。その結果、図像系譜に応じた画家工房への注文の際には一定の法則性が観察されると共に、その地域的特性を浮かびあがらせることができた。
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