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2012 年度 実施状況報告書

トンマーゾ・ラウレーティ研究

研究課題

研究課題/領域番号 23720049
研究機関和歌山大学

研究代表者

高橋 健一  和歌山大学, 教育学部, 准教授 (70372670)

キーワード対抗宗教改革 / マニエリスム / アカデミー / イタリア
研究概要

当該年度においては主として、トンマーゾ・ラウレーティの絵画作品にかんする基本情報の整理をすすめた。従来確保できていなかった写真を今回ローマの美術監督局附属の写真アーカイヴ等で入手した他、自ら現場で撮影してもいる。
同時に、ラウレーティの人脈については踏み込んだ調査・研究をおこなった。たとえば、その1570年代における最も重要なパトロンのひとりにフィリッポ・グアスタヴィッラーニ枢機卿がいる。その枢機卿が1581年の時点でラウレーティに宛てた3通の手紙の写し(現在ヴァチカン図書館所蔵)を精読することで、彼らふたりと数学者のイニャツィオ・ダンティとの交流の実態の一端を把握している。ヴァチカン宮殿のコンスタンティヌスの間にラウレーティが描いた《異教の偶像にたいする十字架の勝利》の図像プログラムの成立には、この3者の関係が作用しているものとみられる。
またラウレーティがアッカデミア・ディ・サン・ルカの第二代目の総裁としてはたした役割についても再考した。現在の同アカデミーの附属図書館・美術館ではいくつかの興味深い材料を見出している。今後の研究に役立てたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に予定していた作品・史料調査をほとんどこなすことができた。それらのデータの整理もすすんでいる。その作業の結果、いくつかの新知見も得ることができた。
ラウレーティが1587~1594年に実現した、ローマ、コンセルヴァトーリ宮殿の「諸隊長の間」のフレスコ画装飾については、前年度の時点で調査・研究をすすめ、その成果をひとつの論文としてまとめていたが、パヴィア大学が発行する雑誌『Artes』にそれを投稿したところ、掲載されることが決まった(現在印刷中)。
またボローニャの《ネプチューンの噴水》の実現のためにラウレーティがはたした役割にかんする論考を発表すべく、現在準備をすすめている。

今後の研究の推進方策

ラウレーティの素描について詳しい調査をおこないたい。
一方で、ラウレーティが1570年代にボローニャの聖堂サン・ジャコモ・マッジョーレのために実現した絵画作品、すなわち《キリストの復活》を中央に置く三連祭壇画、そして《聖アウグスティヌスの葬儀》について、画家のパトロンとの関係等を契機に考察を試みたい。それらは様式的にも図像的にも複雑な様相を呈している。
また遠近法の実践家としてのラウレーティも重要だが、その側面についてはいまだ研究できていない。イニャツィオ・ダンティからの影響が多分に想定されるが、その点から検討を始めたい。

次年度の研究費の使用計画

そのほとんどは、現地での作品・文書資料調査に使用する。ラウレーティの絵画作品の多くの写真をすでに確保したが、その収集はいまだ不十分で、とりわけ素描のものは欠けている。それらの調達にもいくらかを当てたい。また、必要な書籍もこの一部で購入するつもりである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Da Tommaso Laureti a Caravaggio2013

    • 著者名/発表者名
      Kenichi TAKAHASHI
    • 雑誌名

      Artes

      巻: 15 ページ: -

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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