本研究では、アードルフ・ヘルツェルの造形について、その理論と実作品の双方から検証し、画面の抽象化が「構成」という概念に支えられて展開してゆくことを検証した。その際、色彩の効果が画面内での重心を左右するものとして位置づけられるが、ヘルツェルはこれによって対象を分解することなく、画面を一つの世界として直接構築しようとした。この意識は、調和的あるいは全体性を強く示す世界観の顕れとして位置づけられるが、ヨハネス・イッテンやオスカー・シュレンマーらを通じて、具体的にバウハウスに引き継がれてゆく造形観として認めることができるのである。
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