研究課題/領域番号 |
23720060
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
門林 岳史 関西大学, 文学部, 准教授 (60396835)
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キーワード | メディア論 / 映像 / ポストメディア / 感性論 / ヴィデオ・アート / メディア・アート / 梅棹忠夫 / 攻殻機動隊 |
研究概要 |
もともと昨年度に予定していたカールスルーエのメディア芸術センターおよびリンツのアルス・エレクトロニカへの調査旅行を行い、メディア・アートの最新の動向について知見を深めた。また、今年度は5年に1回カッセルで開催される現代芸術の世界的な祭典ドクメンタの開催年であり、あわせてそちらにも訪れることで現代芸術全般における映像メディアを用いた作品制作について知見を広めることができた。国内においても山口情報芸術センター、恵比寿映像祭、インターコミュニケーションセンター、水戸芸術館などでメディア・アート、ヴィデオ・アートについてのワークショップへの参加や資料収集を行った。 また、本年度はふたつの国際会議に参加し、本研究課題の途中成果を報告するとともに、関連する研究者と意見交換を行った。まず、ミシガン大学で開催された映画理論についての国際会議「Permanent Seminar on the Histories of Film Theories」においては梅棹忠夫を中心とする60年代日本のメディア理論を理論的・歴史的に再検討する報告を行った。次に、ソウルで開催された現代日本のメディア文化についての国際会議「Mechademia Seoul」ではマンガ・アニメ作品『攻殻機動隊』シリーズにおけるサイボーグ表象を哲学的に検討する報告を行った。以上の研究発表において、「ポストメディウム」という概念を軸にメディア理論を系譜的に再検討し、SF作品におけるテクノロジー表象に実例を求めながら理論を再構築する本研究を、日本におけるメディアの言説と表象の領域において進展させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初より予定していたメディア・アートやヴィデオ・アートの資料調査を順調に進めることができたのに加えて、ふたつの国際学会での研究発表を通じて、本研究課題の理論的作業を日本におけるメディアの言説と表象という事例において具体的に進めることができた。 また、これまでに研究成果を公開してきた成果として、一橋大学で開催された神経美学についてのワークショップ「美は分析できるか?」、山口情報芸術センターで開催された触覚メディアについてのワークショップ「TECHTILE」で招待講演を行った。こうした研究交流を通じて本研究課題を当初予定していた以上に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の国際学会での関連分野の研究者との交流の成果として、日本のメディア理論についての英語書籍を分担執筆することを予定している。また、2014年度前半には所属大学の在外研究者制度を利用してベルリンのマックス・プランク科学史研究所に滞在することを予定しており、ドイツ語圏のメディア理論の知見を深めながら研究を進めていくと同時に、ヨーロッパにおける映像メディアに関わる現代芸術の動向をさらに調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述した日本のメディア理論についての書籍刊行の準備として、11月にハーヴァード大学で開催されるワークショップに参加する予定である。また、実験映像、ヴィデオ・アート関連の映像資料の調査も継続する。
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