研究課題/領域番号 |
23720066
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研究機関 | 公益財団法人大和文華館 |
研究代表者 |
瀧 朝子 公益財団法人大和文華館, その他部局等, その他 (90416264)
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キーワード | 五代十国時代 / 呉越国 / 金属工芸 / 線刻鏡 / 美術史学 / 国際情報交換 / 中国 / 浙江省 |
研究概要 |
本年度は、中国への調査と並行して韓国及び欧州への対象作品の調査を積極的に行い、作品の実見観察を行った。また、現地の研究者との交流を深めて情報を収集し、研究交流を続けることにより、今後も調査研究を協力して行っていく体勢作りに努めた。 実地調査では、中国の浙江省を中心に周辺地域を含めて行い(杭州、臨安、宜興、無錫、江蘇省南京、安徽省)、研究対象としている五代十国時代の金属工芸品の調査を行った。この中では、現地の研究者の協力を得て個人所蔵の作品を調査する機会を得ることもあった。また、中国浙江省博物館の研究員との研究協力を続けているため、当館で開催された本研究内容に関連した唐から宋時代にかけての木版による経典と関連文物を集めた展覧会において資料を作成し、提供するなどの協力を行った(浙江省博物館『遠塵離垢―唐宋時期的≪宝篋印経≫』展、2014年)。この際に、貴重な作品を調査する機会を得ることができたた。 中国以外の調査・研究では、韓国・慶州博物館や韓国国立中央博物館及びイギリス・大英博物館、ヴィクトリア&アルバート美術館などで作品の観察調査、資料収集により、中国以外の地域に残されている資料を調査した。 以上に概略した中国、韓国、欧州への調査旅行により、本年度は代表的な作品の実見調査や文献資料の検討など充実した成果を得ることができた。調査した作品の中で、実見しただけでは判りにくいものは図版に起こし、調査内容を基にして論文として(「遼の線刻鏡―釈迦如来仏舎利塔(慶州白塔)―」『図像学II―イメージの成立と伝承(浄土教・説話画)』仏教美術全集3、2014年5月、竹林舎)本年度の成果とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は中国浙江省周辺の調査を充実させるとともに、他地域に残る関連作例や資料にも目を向けて、韓国及びイギリスにも調査範囲を広げて積極的に調査を行い、貴重な資料を得ることができた。その中で、本研究による調査の一部を基に論文をまとめた(「遼の線刻鏡―釈迦如来仏舎利塔(慶州白塔)―」『図像学II―イメージの成立と伝承(浄土教・説話画)』仏教美術全集3、2014年5月、竹林舎)。 昨年度に計画していた東南アジア方面までは資料収集は行ったものの、調査範囲が及ばなかったが、研究対象地域として最も重要と考える呉越国と関わりの強い朝鮮半島や貴重な文物の残されているイギリスでの調査を充実させることができたため、おおむね順調な進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究内容と方針に沿って、五代十国時代(10世紀)の金属工芸品について資料及び史料を収集し、作品調査を可能な限り行い、今後有益に活用できる基礎資料をまとめる。次年度は研究に関係する作品のあるアメリカでの調査を予定している。本研究の成果をもとにして、研究の幅を広げ、また内容を深める視野の確立も目指す。 さらに、是まで継続してきた中国や韓国の研究者との連携を深め、情報の交換を行うとともに、今後は更なる研究交流を行い、研究の成果を相互に還元できる体制を強めることの必要性を感じ、これらを念頭に置いた交流を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究計画として、アメリカへの調査を予定しているため、その費用に充当する目的で繰り越した。 アメリカへの作品調査及び資料収集の為の旅費
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