研究課題/領域番号 |
23720067
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
児島 大輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 特別研究員(アソシエイトフェロー) (50582376)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 年輪年代法 / 仏教美術 |
研究概要 |
本研究は彫刻史研究の根幹となる個々の作品の制作年代を決定ないし推定するための方法を調査研究することを目的としている。作品研究における年代決定は、従来、銘記による判断、様式による編年、形式による分類、文献史料による裏付けといった作業により総合的になされてきた。本研究ではこうした美術史的観点に加えて、とりわけ木彫像に関してはその素材に年輪年代法を活用することにより、木材の年代から制作年代を推定し、従来の研究成果と対照することを一つの目的としている。在銘像については銘記と木材の年代の関係からその造像過程をも明らかにしたい。また、年輪年代法は木材の年代だけでなく産地の推定にも効果的なことから、木材の産地の推定をおこなうことで制作地や造像過程を明らかにすることなども目的としている。 上記の目的を果たすために、木彫像を中心に美術史的観点から調査をおこなうとともに、あわせて年輪年代調査をおこなうほか、これまでに実施された木彫像に対する年輪年代調査成果を集成することで、美術史的研究成果との対照に備えることが研究活動の中心となる。 本年度は研究事業の初年度であり、今後の調査へ向けた予備調査や年輪年代調査の依頼をおこなった。また、成果としては奈良文化財研究所が取り組んできた木造神像彫刻の非破壊年輪年代調査成果を集成し、その一部を公表したほか、東大寺法華堂部材の年輪年代調査成果について公表した。これらを彫刻史研究に還元することが今後の大きな課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本業務が多忙をきわめたため当初の計画よりもやや遅れているが、着実に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降も本年度同様に彫刻作品の調査研究を継続しておこなっていくほか、これまでの調査成果の集成をはかる。また、並行して新規調査に向けて調査依頼や予備調査をおこなう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今後も本年度と同様に木彫像を中心とした彫刻作品所蔵機関・寺社・個人の協力のもと、調査研究を遂行したい。そのための調査機材として年輪計測画像撮影用の高精細デジタルカメラなどが必要となるほか、調査地への旅費、年輪計測要員に対する謝金などが必要となる。
|