研究課題/領域番号 |
23720068
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
寺澤 洋子 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 研究員 (70579094)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 音合成 / 心理実験 |
研究概要 |
平成23年度は、打楽器音の音響的特徴を変化させた場合の聴取実験を目標として研究を行った。 まず、打楽器音の立ち上がり部分を周波数バンドごとに遅延をかけるような音合成(スペクトラルディレイ)の試作を行った。このスペクトラルディレイでは、Barkスケールと呼ばれる内耳基底膜の周波数分解能を模した周波数スケーリングを用いて、フィルタの透過帯域にBarkスケールの3チャンネル分、その前後の減衰域にBarkスケール2チャンネル分を使用する、5つのフィルタによって構成されるフィルタバンクを作成し、さまざまな音合成を行った。 この音合成を通じて、実際の打楽器音の立ち上がり成分は、フィルタを用いたスペクトラルディレイでは、明らかにバラバラの、別の音と感じられてしまい、本来の目標である打楽器音の音色変化にはならず、別の効果となってしまう事が判明した。そこで脳反応観測のためには、更なる実験刺激の作り込みが必要であり、統一感がありながらも違いが感じられるような音を作らなければならないことが確認された。そこで、正弦波の重ね合わせによる疑似打楽器音を作成し、それを変化させたものを使うこととした。疑似打楽器音の作成を開始したところで平成23年度3月を迎えた。 並行して、平成24年度で使用する実験環境(空間的な音提示)の準備を行った。マルチチャンネル空間音響の実現に必要なレイアウトを考え、セットアップを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今回、目標としたことの半分程度しか達成出来なかった。理由としては、科研費の内定、交付、支給額の決定全てが遅延したことを挙げる。特に支給額減額に関しては決定が遅れ、具体的な研究実施計画を策定し、それ通りに進めることが非常に難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
疑似打楽器音の音響的特徴を変化させたものを作成し、予備実験を行い実験刺激として適切かどうか判断したうえで、心理実験と脳反応実験を実施する。心理実験における差異評価と、脳反応における事象関連電位との関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の実施状況が予定より半年ほど遅延していることにより、次年度に使用する予定の研究費が発生した。平成23、24年度においては物品費が主であり、購入物品(計算機、ソフトウェア等)に大きな変化は無く、半年遅れで購入する予定である。
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