研究課題/領域番号 |
23720076
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
田村 容子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (10434359)
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キーワード | 中国演劇 / 中国文学 |
研究概要 |
本研究は、中華民国期の上海における演劇とジャーナリズムの相互連関性について考察するものである。主として同時期の新聞・雑誌記事を調査対象とし、二十世紀中国演劇に普遍的に見られる、西欧のモダニティの受容とそのローカライズという現象を、上海に出現したタブロイド紙・映画・洋式劇場・遊戯場といった新興のメディアや娯楽文化とも関連づけて考察することを目的とする。 本年度の主な研究実績は、以下の4点である。1, 中央研究院近代史研究所(台湾)、上海図書館・上海戯劇学院(上海)における資料調査(8月、3月)。2, 中国文芸研究会における書評および研究報告(6月、9月、3月)と、論考および書評執筆。3, 京劇史研究会における研究報告(5月、7月、10月、1月)と、論文翻訳。4, 北海道大学における研究報告(3月、7月)。 1の資料調査により、1930年代から40年代という戦時期における演劇とジャーナリズムの動向を示す新聞・雑誌資料を収集した。次年度に整理し報告を行う予定である。2では、民国期上海の文芸とジャーナリズム、および娯楽文化のすべてに密接にかかわる存在として「モダニズム」に着目した。関連文献の書評およびモダニズム文学についての論考執筆を通し、同時期の上海都市社会の変容とその文芸への影響について考察した。3では、1940年代より提唱された中国演劇の改革モデル「推陳出新」について中国語で発表された重要な文献を翻訳し、研究会における検討を経て訳註を作成した。この翻訳および訳註は、次年度にウェブ公開する予定である。4では、中国文学を対象とする研究者、および異なる地域(ロシア、ベトナムなど)・学問領域(映画学・文化人類学など)を対象とする研究者との意見交換を通し、「西欧のモダニティの受容とそのローカライズ」という現象について、比較文化の視点から中国演劇の状況をとらえなおす作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、以下の活動を行うことができたため。 1, 中央研究院近代史研究所(台湾)、上海図書館・上海戯劇学院(上海)における資料調査(8月、3月)。2, 京劇史研究会における研究報告(5月、7月、10月、1月)。 そのほか、以下の研究会において定期的に研究報告を行った。 3, 中国文芸研究会における書評および研究報告(6月、9月、3月)。4, モダニズム研究会における研究報告(7月、10月)。5, 北海道大学における研究報告(3月、7月)。 これらの活動により、中国における「西欧のモダニティの受容とそのローカライズ」の過程を明らかにするという研究目的について、中国文学を対象とする研究者および異なる地域・学問領域を対象とする研究者との意見交換を通して、新たな研究の視点を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は、以下の通りである。 1, 国家図書館(台湾)・上海図書館(上海)における補足資料調査。 2, 戦時期上海における演劇とジャーナリズムの相互連関性について学術口頭発表。 3, 平成24年度調査成果にもとづき論文執筆。 4, 平成23~25年度調査成果にもとづき成果報告論文執筆。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の推進方策に関連し、以下の通り使用する予定である。 1, 海外旅費 2, 国内旅費 4,図書およびマイクロフィルムの購入
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