研究課題
本研究は、旧草月会館ホール(赤坂)を拠点に「前衛」の実験場となった草月アートセンター(1958~71年)を歴史的関心の対象として扱っており、各種マテリアルに関する網羅的・非選択的な研究すなわち「アーカイヴ型の研究」という問題設定のもとで各種プロセスが実施された。また、「アーカイヴ型の研究」の手法としてのモデル化も同時に図られ、他の「前衛」の事例、他のマテリアルへの本研究の応用可能性が探られた。一般財団法人草月会に残されたマテリアル群から出発する物理的資料体の編成プロセスと並行し、本研究では然るべきデータベースにおいて束ねられるレコード群の系列や、各レコードの構成要素であるメタデータ群の系列にそれぞれ与えられうる論理的構造(スキーマ)の設計プロセスに重点が置かれた。「アーカイヴ」は未分化なものの分化に留まらず、分化と脱分化を交互に繰り返すかたちで資料の活性化、再活性化を目論むものでなければならない。そのような視座が、個別的・選択的な内容よりもむしろそれらを収める容器の在り方、そしてインターフェイスへと、次第に本研究の重点のシフトを促した。非ミュージアム的な知の在り方の可能性を模索しつつ、研究プロセスそのものが「アーカイヴ」という営みとの似姿をとるための諸条件を意識して進められた本研究の、具体的かつ副次的成果として、1、クロノロジーのもと催事毎に編成され、すでに広く利用可能となった物理的資料体(計4582アイテム)、2、催事/作品/人的要素の三つの階層によるレコード群=「前衛」を扱うデータベースのモデル、3、催事毎に集積された関連文献情報(計2147レコード)を上げることができる。なお、最終年度はニューヨーク近代美術館・国際プログラムの協力により、本研究において作成された各種レコードと、催事印刷物(エフェメラ類)のデジタル画像の一般公開が実現されている。
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Post (website), Museum of Modern Art, New York
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Either/And (website), London