研究課題/領域番号 |
23720083
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研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
赤塚 健太郎 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (10528821)
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キーワード | 舞踏史 / バロック音楽 |
研究概要 |
平成24年度は、パリに赴き、フランス国立図書館に所蔵されている18世紀の手稿舞踏譜の調査を行った。調査対象となる資料は、既に図書館から複写を取り寄せて研究を進めているものである。これらの資料に対する複写を通じた研究過程で生じた疑問点や、複写では判読の困難な箇所などについて、現地で実際の資料を見ることによって問題を解消することができた。さらに、複写を通じた研究では気づくことのなかった資料の特徴も、現物の資料の調査によっていくつか見出された。 こうした過程の中で、同一の振り付けについて複数の資料が残されているような事例が、資料の問題に取り組む上で重要な情報を秘めていることが明らかとなった。これらの資料間における情報の異同が、その振り付けの伝承について多くの手がかりを与えることはこれまでの研究で明らかになっている。それに加えて、いくつかの資料を束ねた舞踏譜集の伝承についても、新たな情報を提供する可能性が見出されたのである。そのため、これまでに出版されている2種類の18世紀の舞踏譜カタログ(LittleとMarshによるLA DANSE NOBLEと、LancelotによるLa Belle Dance)の情報に基づきつつ、関連する舞踏譜資料を新たに洗い出し、計画段階では調査対象に入っていなかった印刷舞踏譜についても新たに考察に組み込む必要が生じた。その洗い出し作業までが、年度内に終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたように、計画段階では考察対象外とした印刷舞踏譜についても手稿舞踏譜間の異同を比較する際の媒介として若干数について考察する必要が出てきた。これらの資料については、昨年度までに複写の入手が完了していない。よってその取り寄せ作業にかかる時間分だけ研究が遅れていることとなる。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べたように、同一振り付けを伝える印刷舞踏譜についても、今年度は考察対象に加え、それによって手稿舞踏譜間の情報の異同についてより広範な比較を行う。その結果を踏まえ、複数の手稿舞踏譜を収めた舞踏譜集について、資料の成り立ちに関する推測を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでに入手していない印刷舞踏譜の複写を所蔵機関に注文する。その際にかかる複写費が今年度の研究費の主たる使い道となる。
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